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スラムのような不良住宅地が密集地の一つの形としてありますが、 街が急成長しているときに家が掘立小屋的に建てられたことから密集的な市街地が生まれる現象もあります。
図7(a)は1850年代のサンフランシスコで、 各家はほとんどが掘立小屋的に建てられています。 図7(b)は1870年のニューヨーク・ブロードウエイで、 石造りの4〜5階建となって(a)の写真とは大分様相が違います。 これも急成長時代の街の様子です。
(出典:Sam Bass Warner, Jr.,"The Urban Wilderness : A History of The American City", Harper & Row, Publishers, 1972)
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同じニューヨークでも開発前の5番街(1893年)は、 区画がはっきりしておらず整っていません。 掘立小屋的な家を勝手に建てている状況です(図8 (a))。
ところが、 区画整理事業が進んでいる地区では、 図8(b)(1877年)のように地主がタウンハウスを作って貸し出しています。 これが繋がっていくと、 今のニューヨークの原型である古い石造りの街並みが出現するのです。 今は、 そういう古い街はスラムになっているところが多いようですが、 それはともかく図8(a)から図8(b)のように街が変化していくことが分かります。
(出典:Sam Bass Warner, Jr.,"The Urban Wilderness : A History of The American City", Harper & Row, Publishers, 1972)
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急成長市街地の一例ですが、 これは1906年のシカゴです(図9(a))。 労働者のための安い住宅がどんどん建っていってできた景観です。 せいぜい高くても3階建で、 2〜3階建の小さな住宅が街を覆い尽くしていました(図9(b))。 こういう市街地は今でも残っていますが、 かっては白人が居住者の多くを占めていたそうですが、 次第に住み替えが進み、 今では黒人の人たちが多く住んでいるそうです。
(出典:Sam Bass Warner, Jr.,"The Urban Wilderness : A History of The American City", Harper & Row, Publishers, 1972)
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図10は掘っ立て小屋のようで一見スラムのようにも見えますが、 ヨーロッパの街のサマーガーデン、 市民農園の風景です。 街に住んでいる人が、 畑仕事をするために作ったもので、 夏の間はここに住むそうです。 つまり市民農園です。
(出典:Spiro Kostof,"The City Assembled",Thames and Hudson,1992)
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