一つは、 現在そこに住んでいる人たちがどういう人たちなのか、 どういう生活を送っているのか、 ということに大きな糸口があるのではないのかということです。 それから、 先ほど大崎さんがおっしゃっておられましたが、 尾道の路地を全体でどうするのかということではなく、 この路地をどうするのか、 こっちの路地はどうすればいいのかというふうに、 個別具体の見つめ方ということが必要なのではないかと思います。 一つ一つ具体的に見ていく中から、 何か見えてくるものがあるという気がしました。
松江では町の中心部に、 ある意味では最も魅力的なものがまだ残っています。 ここ2、 3年でそこに手をかけていくことになると思いますが、 その時、 一生懸命時間をかけて、 金をかけた結果、 それまであった魅力をなくしてしまうようなことだけはよそうと話し合っています。
尾道に初めて来た者が言うことを許してもらえるなら、 歴環の補助事業でされている道路舗装は、 あまりいいとは思えません。 もうちょっと時間をかけてやるべきです。 中世から積み上げられてきている歴史的な時間の長さを思えば、 短期間に化粧しすぎるのは、 賛成できません。 私の街ではそういうことをしてはいけないと思いながら見ていました。
今ある魅力を壊さないように化粧する
寺本和雄
個別具体的な見つめ方が大切
新しい街や新しい路地をどのように計画するのかということではなくて、 今現実に生きている路地空間をさらに魅力的にするにはどうすればいいのかという話だとすれば、 松江の町も同じですので、 いくつかのことがいえるかと思います。
野性の美女に相応しいお化粧を
それから、 さっきの美人論について一言。 去年「もののけ姫」という映画が流行りましたが、 ああいう野生の少女がいきなり口紅を塗り始めたり、 最新流行の服を着始めたら、 これはなかなかうまくいかないだろうと思います。 そういう場合には髪を洗うとか、 顔を洗うとか、 破れているところに布を当てるとか、 そういうことでよくなると思います。
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