都市案内の研究
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2. 都市づくりと都市案内

改行マークちょっとおもしろいと思ったのは、 博物館でまず子供に道順を覚えさせるという話です。 子供が案内していくということと、 普段は大人が子供を教えているのにその反対になり、 子供の役割を変えるということの二つの利点を博物館でやったわけです。 しかし、 これは博物館という安心フィールドの中だからこそできたわけで、 現代都市のように一方で非常に平準化しながら、 一方で迷路化して危険が潜んでいる、 そんな安全の保障されていない都市空間社会では難しいと思います。

改行マークただ、 そういうものを都市に取り入れていくとすると、 博物館的な豊かな領域を、 連続的にたくさんちりばめていって、 それをネットワークしてつなげていくということが考えられます。 それらの領域は、 先ずきわめて安心できる空間であるということです。 安心のレベル・性格も様々ありうるでしょうが、 いずれにしても人間はそうたくさんの領域を一度に歩くことはないわけです。 せいぜい2つ、 3つの領域への説明があれば、 割と変化もあり安心できる連続した領域として、 その都市誘導を行っていける余地があるのではないかと思います。

改行マークたとえばイタリアの小都市は、 迷路性はあるけれども、 不安領域の小さい都市です。 そういう都市では、 日本の博物館のように「次」、 「次」と矢つぎばやに次室への誘導をやるよりも、 矢印を一部やめてしまって、 何となく選択し(時には一部屋ぐらいとばしてもいいから)自由に回遊しながら行けるような空間があって、 それが2つ、 3つとつながっている方がよいと思います。 サインの作り方が都市の作り方にもつながってくると言えると思います。

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