ただ、 発信する側(案内する人)のうまさがあると思います。 下手な人は、 全部の街路の名前を並べて書いています。 ところが、 うまい人は、 メインの大きな街路名があって、 建物の近くまで街路名を全然書かず、 建物の両脇だけ街路名を置いています。 途中は考えずに楽しみながら行って、 近づいてきてこの名前があったらそこで注意しろというのが、 サインの本当のよさだと思います。
同時に、 都市によってあるべきサインの姿も違うと思います。 例えば、 パリではサインがちょっとあるだけで、 とても分かりやすくなります。 しかし迷路型の都市では案内サインを常時発信していかなくてはなりません。
格子状の街路では、 サインを必要最小限にして、 沿道を楽しみながら近づいてゆけるように、 空間構成を変化のあるようにしてゆくことが重要ですが、 一方ラビリンス型の都市は、 何もしなくても楽しいので、 むしろわかりやすさだけを強調して導入すべきだと思います。
昔の京都は、 行く先にアイストップとしての神社があったり、 東山と西山の見え方が違ったり、 そういったことで補ってきたと思います。 ですから、 逆に格子状の都市ほど、 そういう自然地形とか歴史的なものをなくしてしまったときに、 問題が出てきます。 それは、 地下街と同じになってしまうと言うことです。
3. 都市の形と都市案内の形
格子状都市と迷路型都市
先ほどの田端先生のお話では、 京都のように都市構造が平坦化していてかつ格子状であり、 建物も平均化されそれほど目立つものがないところでは、 だいたい、 通り名、 もしくは交差点名でサインを示している例が多いということでした。
大阪と京都
また、 同じ格子状の都市でも、 京都と大阪では違いがあるという田端先生のお話でした。 大阪は大きなビルがあるのでビルの名前を道路の名前とともにサイン化して送らざるを得ないのに対して、 京都は目立つビルがないから、 結局道路というインフラで送るしかないということです。 どちらを良しとするかということは、 都市構造上のアメニティ、 魅力性をどう考えるかにつながっていく話であろうと思います。
地下街の案内
大阪や東京では、 夏暑いから地上を歩く人がだんだんいなくなってきています。 地下街は、 空が見えず建物が見えません。 地下街こそが色々なテクニカルなサインが要求されているのです。 テクニカルなサインに加えて、 アメニティサインも導入するようなことがあれば、 ありがたいと思います。 ここは原則として車が走っていませんので、 そのこと自身でより快適な空間になっておりますし、 車により規定される道路構造ではないので、 自由にアメニティ形成が可能です。
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