観光ガイドブックが色々あっても、 やはり基本となるのは単純で正確な地図です。 毎年更新される地図がまずベースにあって、 その上で、 例えば、 付録かなにかで関連する情報が書かれたものがあれば非常にいいと思います。
地図は、 見れば見るほどおもしろいものです。 発見する喜びがあります。 地図を見ていると、 その都市の構造が分かってきて、 極端なことをいえば、 サインなんかいらないような気がします。
この前、 富山から福岡へ行く用事があり、 地図と時刻表を見ながら、 色々考えていました。 ふと思いついて、 飛行機の時刻表を見たら、 富山から福岡へ行く便があったわけです。 そこから色々なことが分かります。
富山は昔は京都との結びつきが強かったのですが、 飛行場ができてからは東京から新しい情報を得るようになりました。 しかし、 最近は福岡から外国に行くために、 富山から福岡に行く便があると考えていくと、 時刻表もすごく面白い都市案内になっていることが分かります。
道は曲がっているものですし、 細くなったり、 広くなったりします。 並んでいるお店も違います。 逆に言えば、 道は、 そういうものとは関係なく質のいいテクスチャーだけにすればいいのではないかと思いました。 そうすることで、 都市が空間的に持っている情報を際だたせることが結果的にサインになり、 案内になったり記録になるのだと思います。 そういう積み重ねによって、 「ここはこんな町だ」ということが浮かび上がってくると思います。
いずれにしても、 正確で、 単純で、 繰り返し更新されている地図という、 ベーシックなものが意外にないのではないかと思います。 ただし、 はしょった情報がじゃまだということではありません。 それは、 選択の中で使っていけばいいわけです。 しかしそれだけしかないと間違ってしまうので、 両方がうまくリンクされることを期待しています。
正確な基礎情報こそ大切
江川直樹
基本となる地図の必要性
必要な情報をいかに単純化するのかというお話があったかと思いますが、 それは問題があると思います。 下手にはしょられてしまうと逆に分からなくなって、 自分が必要なものが消え去ってしまうことがあります。
都市案内としての時刻表
もう一つ時刻表がおもしろいと思います。 時刻表は、 実は非常によくできた都市案内になっています。 どの都市とどの都市をどういうふうに結んでいるのかとか、 何でこんな路線があるのだろうかとか、 だんだん分かってきます。
空間が発するサイン
先ほどの後藤さんの話の中で、 私も一緒に手がけている商店街の話が出てきました。 道をきれいにするとおっしゃっていましたが、 僕はそんなことは全然思っていません。 ほっておくと道がどんどん汚くなるので、 そうならないように全部石畳にすることを提案しました。 交差点ごとにサインをつけようとか、 道のパターンを変えようとか色々な話があったのですが、 私はそんなことはいらないと思います。
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