HAT神戸・東部新都心に見るマスタープランの役割と課題
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ランドスケープデザイン

ガーデンモール(灘の浜モール)

画像sa009 改行マーク灘の浜モールは、 自然が街の骨格となり、 生活の軸となるまちを作りたいということをランドスケープの方から提案したものです。 手前左手が、 超高層ブロックで、 右手奥が、 特別養護老人ホームのブロックです。

画像sa010 改行マーク東西道路の各角地に、 住棟間のインナーコモン(中庭)とつながる空間を作り、 子供達が遊んだり、 日常のコミュニティが発生するような街角広場を配置しました。

画像sa011 改行マーク写真は、 完成した灘の浜モールです。 店舗とか、 コミュニティ施設が左右の住棟足元のコリドールの中に入り、 道路と住棟の接点にたまりの空間をつくりました。 この街は住民の60%以上が60歳以上のお年寄りですから、 座る場所をたくさん作っていくこと、 座りながらコミュニティが生まれてくるということをテーマにしています。

画像sa012 改行マークベンチのデザインや配置がコミュニティ空間を生み出しているひとつの事例です。

画像sa013 改行マークコリドールの内部まで、 段差を作らないで同一平面のバリアフリーのフロアとして設計しました。 右の写真のように一つのパターンがコリドールの内部まで一体化しています。 その結果、 コリドールと街路が一体の庭のような空間となります。 そうしますと、 この薬局の奥さんが、 室内の緑を出してこられて、 緑が徐々にまちに広がっていくという生活作法が生まれてきます。 こんな小さな出来事が住んでいる人々の生活風景が街の個性を生み出す契機となるのではないでしょうか?


インナーコモン

画像sa014 改行マークこれは、 インナーコモンのひとつ、 テラスの庭です。 ここでは、 縁側のような陽の当たるところにおじいちゃん、 おばあちゃんが座り、 その前で子供達が遊べるような空間を作ろうとしました。

画像sa015 改行マーク縁側のようなウッドデッキは、 裸足で歩いても安心できる床です。

画像sa016 改行マーク緑の軸線と、 床のパターンを作っていきますと、 出会い頭の人々のおしゃべりだとか、 高齢者の方々と子供達が言葉を交わす場面だとか、 そういった日常生活のシーンが活気ある風景となります。

画像sa017 改行マークインナーコモン(中庭)は、 住棟の前庭になります。 ですから、 この緑を通して、 玄関にはいるわけです。 玄関前に、 配置されたベンチやその周りの雑木林の緑によって、 連繋の足元をできるだけヒューマンスケールに近づけることを試みました。


安心して遊べくつろげる空間

画像sa018 改行マークベンチの高さは、 大変大事な要素です。 バギーを横に置き、 お母さんが子供をあやせる高さが必要です。 仮設住宅の方々のお話を聞いてみると、 お母さんがたが一番悩んでいたのは、 仮設住宅の中で、 子供達が安心して遊べる広場がないということでした。 自分の住宅の近くで、 安心して遊ばせることのできる広場をできるだけつくって欲しいというお話でした。 高さは、 身障者の車椅子も横付けできる高さとしています。

画像sa019 改行マークベンチは少し高めにしています。 足の悪い方が立ち上がりやすいように、 手すりがついています。

画像sa022 改行マークこれは防災をかねた遊具です。 天水を利用して、 常に水を動かすというものです。 これは、 子供が一番喜んでいるものなんですが、 日常から防災用水がどこにあるか遊びながら知っていること、 「日常からの安心・安全」がテーマになっています。

画像sa023 改行マーク神戸製鋼の工場を撤去する時、 バケットを残してもらいました。 こういったものが人々の記憶として残ることをテーマにして、 レイズドベッド(立体花壇)として使いました。

画像sa024 改行マーク子供達が遊ぶシーン。 既製の遊具はあまり入れませんでした。

画像sa025 改行マーク夜になりますと、 テラスの庭のウッドデッキ上は光ファイバーで夜光虫のように光るようになっています。 夕涼みに来た人たちが楽しめる空間ですので、 夜風に吹かれながら見に来られる方が多いです。

画像sa026 改行マークこれは、 路地花壇として、 手入れができる庭を作っていったものです。 南面の西の一番広いところをとり、 ひとつのユニットが90cm角ぐらいの手入れしやすいスケール感で作りました。


花と緑と夜光虫の空間

画像sa027 改行マーク写真は、 中央のはなの広場です。 ここにも人びとが集まれるように、 縁側と将棋台を作っています。 ただしここで将棋をしておられる方はおられません。 日本人はこういう広場の中央では将棋をしないことが分かりました。

画像sa029 改行マークしかし、 コミュニティのイベントをするときには、 中心核になる広場であり、 子供達はこういうふうにここの縁台でよく遊んでくれます。

画像sa030 改行マークところが、 お年寄りは、 真ん中にはあんまり来ないんです。 だいたい、 周辺にあるベンチによく座られています。 このように、 設計者が絵にかいたようには人は動いてくれないということがよく分かりました。

画像sa031 改行マーク土の道が欲しいというお話がたくさんあって、 私もそういうことを考えたのですが、 実現はできませんでした。 写真のようなシーンを見ていますと、 外部がフリーアクセスでないと、 雨の翌日には、 ほとんど外に出られなくなってしまうことが分かります。 ですから、 アクセスについては、 フリーな、 廊下のような床を作っていくということをテーマにしたわけです。

画像sa032 改行マーク写真は、 2階の部分で、 下に駐車場があります。 ここにも、 ウッドデッキを使って、 できるだけ柔らかい床の人工地盤をつくっています。 トップライトとしてガラスの箱を作って、 ここも、 一つの光の庭になるようにしています。

画像sa033 改行マーク写真は、 特別養護老人ホームの中庭です。 上から見ると銀河になっていて、 星が光ります。 ここに竹を植えまして、 ここで七夕の季節には、 特養のおじいちゃん、 おばあちゃん達が何かのお祭りをしてくれないかと期待したわけです。 やはり、 今年の7月の七夕の時にはたくさんの短冊が飾られました。

画像sa037 改行マーク写真は東西道路の歩道部分です。

画像sa038 改行マーク写真では見事に、 神戸市と住都公団の境界が分かります。 神戸市側に降った雨の水は、 住都公団の方には流れてはいけないそうですので、 マウントの両側に側溝が入っています。 また道路課の指示でマウントの真ん中に縁石の線を入れましたが、 いずれ植物で隠れるようになっています。

画像sa039 改行マークフリーアクセスの斜路ですが、 身障者の方たちが、 そこにやっぱり庭を作られています。 これを見ていますと住み手によって緑がだんだん豊かに育てられてゆくようでホッとします。

画像sa040 改行マーク写真は、 業務地区のゾーンです。 業務地区は、 もう少しハードにしまして、 コミュニティアクセスを考え、 ベンチと照明(設計:GK設計)を置いています。


駐車場棟/橋/ストリートファニチュア

画像sa041 改行マーク駐車場棟は全部北側の道路際に建てまして、 これで阪神高速の防音壁にしています。 ただし、 上から、 汚い屋上が見えたらいけないということで、 屋上庭園を作っています。 ただし、 ここを解放しますと、 たくさんの事故が起こりそうですので、 人は入れないようにし、 ノーメンテナンスの緑化をめざしました。

画像sa042 改行マーク海へつなぐ歩道橋です。 バリアフリー橋でもありヨットのイメージで設計して、 身障者の方も楽しみながら海へ行けるように設計しました。

画像sa043 改行マーク写真は橋の中央に、 まちを見るたまり空間を作っています。

画像sa044 改行マーク写真は歩道橋足元の空間につくった広場です。

画像sa045 改行マークこれはゴミプランターです。 ゴミのバケットはいつも汚いのですが、 ここにも、 アーティスト(栗丘昴生)に入っていただいて、 つながると一つのデザインになるという楽しい形になっています。 これらは、 北川フラムさんが、 アートのコーディネーターとしてまとめられました。

画像sa046 改行マーク写真は植松奎二さんの、 マルチポールです。 当初ポールの下の縁台には防災用具が入る予定だったのですが、 安全上問題があるということで、 現在は入っておりません。


ガーデンクラブ

画像sa047 改行マーク現在ガーデンクラブを仲間や住民の人たちと一緒にボランティアとしてやっています。 約30人ぐらいの方々が集まって、 灘の浜の住民の方々と一緒に、 春と、 秋に、 花を植え替えていくという作業をしております。 人々が育つ街、 育てる街としてHAT神戸のランドスケープからデザイン提案しましたが、 ランドスケープはデザインが終わり、 空間が完成してから以降が大事だと今日つくづく思っています。

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