なぜこういった厳しい法律が作られたのかですが、 その背景にはベトナム戦争の傷痍軍人の問題があるのです。 第二次世界大戦では、 例えば「ジョニーは戦場に行った」などを見ても分かるように、 手足をもがれたら死ぬしかなかったのです。 ところが科学が発達し、 ヘリコプターで病人ごと搬送できるようになり、 瀕死の人も生還できるようになりました。
アメリカが行った戦争で傷ついた軍人は手厚く保護されます。 その結果、 アメリカは1960年代に若者であった人たちが、 死ぬまで措置費を払い続けなければならないわけです。
こんなことをしていると、 アメリカは世界でもっとも強い国ではなくなってしまうと考えたわけです。 何とか障害を持った人間を、 納税者に変える方法はないかと考えました。 そこで、 そういう障害があっても働き続ける環境を提供しよう。 そのためには雇用が必要である。 職場に行くためには交通が必要だ。 職場からいろんな情報を発信していくためには通信が必要だ。 税金を払ってもらおう。 働いて、 給料をもらって、 措置費を国が払うのではなく、 税金を納めてもらおうと考えたのです。
そうすると、 国が行うあらゆるサービス、 民間が行うすべてのサービスに対しても当然彼らは権利がある。 それを保障しなければならないと言うことで、 このADAが生まれました。 だからADAは慈悲や、 かわいそうだとか、 福祉だとかいった視点ではなく、 非常にアメリカ的な、 強い国アメリカを維持するために考えられた法律なのです。
ADA(アメリカ障害者法)と
ユニバーサルデザイン
これはAmericans with Disabilities Actと言います。 ADAは、 雇用、 公共交通、 サービス、 通信のあらゆる分野において差別があってはならないという法律です。
このページへのご意見は前田裕資へ
(C) by 都市環境デザイン会議関西ブロック JUDI Kansai