これは冗談ではなくまじめに言うんですが、 車イスでは絶対に行けないような場所、 人の助けがないと行けないような場所をわざと造ってもいいんじゃないかと思いました。 というのは、 建築基準法や道路条例で世の中全体ができるわけがないのです。 先ほどアメリカやヨーロッパの話が出ましたが、 ヨーロッパへ行くと階段の街はいっぱいあるわけで、 「福祉が云々」なんてことを考えてなくても、 そういう所で困っている人を見かけたら手助けするのが普通だろうと思うのです。
今は、 大多数を占める方を健常者、 少ない方を障害者と言っていますが、 どっちか多い方が正しいのではなくて、 みんなで成り立っている社会だと思うのです。 どうやったら共存できるかを考えると、 お互いが知り合う機会を増やしていくのが我われのやっているまちづくりだと考えました。
もうひとつ思ったのは、 水に触れるためとか花に触れるために造った空間は、 我われにとっても新鮮な空間だということです。 目線を変えるというのはよくデザインの世界で議論する話題ですが、 面白い空間づくりだと思いました。
こういう話を聞いたことがあります。 最近、 中高生が歩道にしゃがんでいますが、 しゃがみ込むと歩道が屋上空間に見えるらしい。 この間も大阪駅のホームで、 女の子三人が床に座って飯を食っているのを見たのですが、 屋上で食事をしている感じだったのでしょうか。 我われは恥ずかしいからしませんが、 想像するだけでも楽しそうです。 我われは健常者の目でそんなことを一生懸命発見しようとしているわけですが、 ユニバーサルデザインにおける視点や目線の変え方はすごい発見につながると思います。
三宅:
私もデザインをやっている人間ですから、 高低差のあるところや陰影のあるものは面白いものができるということは分かっているつもりです。
車イスでいけない場所があっても良い
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