第3部
明日の都市のニーズの充足と市民の念願
1 全ての人びとのための都市
「新しい都市への来住者も含めて」となっているのは、 都市計画は既存住民だけを対象にしているのではないということです。
2 真の住民参加
市民参加は新アテネ憲章の中でもとりわけ重要視されていますが、 ここではその姿勢がかなり明確に打ち出されています。 「市民の願望が実現されることがほとんど不可能」とは、 議会とまちづくりの関係だと思います。
3 人間同士のふれあい
「ふれあい」が提言の上位にくるということが、 今の時代を反映しているように思います。
4 特質の継続
これは一般的にアーバンデザインの課題として認識されるところでしょう。 都市の質的なものに関する記述です。
この認識も非常にヨーロッパ的です。 都市のフィジカルな特徴が文明の原動力であるということが、 ヨーロッパの都市の基本概念だということがわかります。
つまり、 保存も大事だけど、 新しく作るものも都市計画の課題だということです。
この辺の記述は、 日本の都市計画の範疇からははずれますが、 建築的な都市の基本原則が述べられていると思います。
5 新しい技術からの利益
情報技術は重視されていますが、 その利益はコミュニケーションや多様な経験への可能性を高めるとしています。 コミュニケーションの質の問題です。 コミュニケーションの質をどうするかによって都市の姿も変わってくるというふうに読みとれます。
6 環境的側面
・再生不可能な資源の保護
・エネルギーの管理と
クリーン・テクノロジー
・汚染の低減
これまでに何度も出てきた課題がここでも強調されています。 「生物の多様性」も繰り返し出てくる話です。
7 経済的活動
これはヨーロッパで以前から行われてきた協調型開発(行政と民間が両輪となって開発すること)の認識の表現だと思います。
この部分は覚えておけばあちこちで使えそうな文章です。
8 移動とアクセス
いろんな機能の配置と混合土地利用によって、 移動のニーズが少なくなるだろうと言うことです。 マイカーへの依存もいろんな方法で制御しなければならないと指摘されています。 そのための公共交通の仕組みとして、 歩行と自転車施設の再編の必要性が述べられています。
これは、 交通の問題がエネルギー問題と関係してくると指摘しているわけです。
9 多様性と相違性
この問題がここで出てくるのも面白いと思います。
ここで述べられている環境などの問題は住宅に収斂していくのですが、 それは次のように提言されています。
住宅は機能性があり、 安ければ良いというわけではなく、 デザインの役割を強調しています。
10 健康と安全
最後に提言されているのが健康と安全の問題で、 本文には「都市で戦いをしてはならない」という記述もありましたが、 まとめると次のようなことになります。
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