ルーフスケープ(屋根並み)について
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地域アイデンティティとしての屋根

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図5 帝冠様式1 = 折衷様式→伝統的な要素が残る屋根
ミレーナ

改行マーク昔日本には、 帝冠様式という建築様式がありました。 図05の愛知県庁は、 建物の下の部分はだいたい近代様式でつくられており、 伝統的な要素は屋根だけに使われています。 屋根の部分を隠すと、 どの建物か、 どの場所の建物かが分からなくなります。

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図6 帝冠様式2 ― 中国―伝統的な要素が残る屋根
ミレーナ

改行マークこれは中国の廈門大学です。 屋根から、 どんな場所かが分かります。

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図7 帝冠様式3 ― 中国―伝統的な要素が残る屋根
ミレーナ

改行マークこれは、 同じ廈門大学の学生寮です。

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図8a 帝冠様式4 ― 中国―伝統的な要素が残る屋根
ミレーナ

改行マーク中国南部の泉州では、 今、 大きな再開発が進められています。 これはその一つの場所です。 図08の左の写真の左の建物は昔の伝統的な住宅です。 屋根の部分だけは、 右の新しい建物のテーマになっています。

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図8b 帝冠様式4 ― 中国―伝統的な要素が残る屋根
鳴海

改行マーク図08bは中国の町家は日本の普通の町家と同じようなものです。 これは町家のイメージを残しながら、 新しく再開発したものです。 屋根がまるで天守閣のように見えます。 町家と違い、 建物の階数が増え一体の建物になっていますから、 ものすごく変に見えます。 現代中国が頑張った建築の一つだそうです。

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図9 帝冠様式5 ― 中国―伝統的な要素が残る屋根
ミレーナ

改行マーク中国と台湾の新しい電車の駅では、 屋根に伝統的なデザインを使って、 台湾、 中国のイメージを表しています。

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図10 帝冠様式6 ― 中国―伝統的な要素が残る屋根
ミレーナ

改行マークこれは、 台北にある記念博物館です。 これは新しい建物ですが、 屋根でこの建物が中国のものだとよくわかります。

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図11 帝冠様式7 ― インドネシア―伝統的な要素が残る屋根
ミレーナ

改行マークインドネシアには色々な民族がありますが、 屋根からどの民族かが大体わかります。 これは、 インドネシアのバンドンにあるITB(Bandung Institute of Technology、 バンドン工科大学)です。

鳴海

改行マークバンドン工科大学は、 伝統的な屋根をそのまま付けたのではなく、 オランダの建築家が、 ジャワスタイルを設計テーマとして作り出した新しい屋根です。 屋根の端の装飾のカーブに少し伝統的な要素がありますが、 全く新しい形です。

改行マークオランダ人が理解したジャワの屋根のイメージがこれに現れています。 今世紀の初頭、 1920年くらいのものですから、 近代建築が台頭してきたときの設計です。

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図12 帝冠様式8 ― インドネシア―伝統的な要素が残る屋根
鳴海

改行マークこれは同じ大学の新しい校舎です。 インドネシアでは最近、 大学のキャンパスが一つのシンボルになるように、 校舎を凝ってつくっています。 これも、 つい2、 3年前につくられたものです。 バンドン工科大学の建築家の先生が設計したのですが、 単に形だけではなく、 熱のことなど環境的な側面も考慮して設計されています。 外側には、 植物が生えて絡まっていますが、 それも日照を遮るといった効果を期待してのことだそうです。

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図13a 帝冠様式10 ― インドネシア―伝統的な要素が残る屋根

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図13b 帝冠様式9 ― インドネシア―伝統的な要素が残る屋根
ミレーナ

改行マークこれはインドネシアで、 図13aはジョグジャカルタにある警察です。 図13bは、 バンドンにある、 伝統的なスンダスタイルの屋根の公共の建物です。 両方は屋根は、 その伝統的なイメージからつくられたものです。

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図14a 帝冠様式11 ― インドネシア―伝統的な要素が残る屋根

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図14b 帝冠様式11 ― インドネシア―伝統的な要素が残る屋根
ミレーナ

改行マーク図14aは、 バンドンにある伝統的なジャワスタイルの屋根をのせた建物です。 インドネシアでは多くの場合、 伝統的な屋根がのせられています。 図14bはインドネシア銀行で、 右側が古い建物で、 左側の大きな建物が最近新しく建てられたものです。

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図15 山形1 ― 屋根と地方文化
鳴海

改行マーク山形県では景観条例のようなもので、 公共建築は出来るだけ屋根のモチーフを使うべきであるとされています。 図15は郊外でたまたま発見した小学校です。 真ん中の屋根とか、 部分的な廊下の屋根とかに図4の町家の屋根の遊びに似たニュアンスがありますが、 左右対称ですさまじい形になってしまっています。 こうした屋根を用いることが、 公共建築の設計の一つの考え方として奨励されているわけです。

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図16a 山形2 ― 屋根と地方文化

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図16b 山形3 ― 屋根と地方文化
改行マーク図16aは東北芸術工科大学です。 形は違いますがこれも同じく傾斜と大屋根を使うというコンセプトでつくられたものです。 図16bは山形市の美術館ですが、 モチーフは一緒です。

改行マークさっきの小学校はちょっとごてごてしすぎていますが、 ともかく山形県中こういう屋根を使っていこうという考え方は、 さっきの中国とか、 あるいはインドネシアの考え方と、 そう隔たりが無いように思います。 設計の上手下手はあるかもしれませんが、 基本的な考えは一緒ではないかと思います。

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