公共性と遊び心を持って
有光友興
簡単に二つほどお話しします。
ご存じの通り、 私たちは再開発事業を専門に仕事をしていますが、 建物の屋根は全体共有、 つまり誰のものでもなく入居者全員のものだという意識で設計しています。 非常に公共的なものなのです。 だから屋根の使い方や形を考えるときは、 公共性を意識して手がけなければなりません。 先ほどの話に出た「屋上が汚い」というご指摘は、 その建物の設計者が公共性を考えず、 自分の建物のことしか頭になかったからでしょう。
もうひとつ。 屋上を考えるとき、 私が大事にしているのは「遊び心」です。 我々が手がける建物は、 基壇部の上に高層棟が乗っているいわゆる墓石スタイルのビルが多いのですが、 実は、 プランナー、 コーディネーター、 建築家など建物に関わった様々な立場の人間にとって、 一番楽しみな空間が屋上部分なのです。 機能的な部分をきちんとするのは当然のことですが、 屋上空間をどう使うかは我々の楽しみであり、 遊びの空間なのです。
私はできるだけ屋上庭園を造るようにしています。 もちろん屋上庭園を作るとなると、 建築家だけでは出来ませんから、 造園設計者などいろんな人たちが参加することになります。
観覧車から見たときの都会の屋根が汚いという意見には私も全く同感です。 大阪の多くの商業ビルのオーナーやデザイナーには遊び心が欠けているのでしょう。 ですから、 これからの屋上空間には、 公共性と遊び心を提案したいと思います。
このページへのご意見は前田裕資へ
(C) by 都市環境デザイン会議関西ブロック JUDI Kansai