日本の伝統的屋根並みは「混乱を収める」というお話がありましたが、 2階建の場合は中高層の「上へ伸びる」志向と違って、 下へ向かっていく志向があるようにも思います。
なぜそう思ったのかというと、 震災後の被災地ではハウスメーカーの寄せ棟の家がバタバタと建ち並んでいって、 それまで屋根が見えていた光景から壁しか見えない光景に変わっていったのです。 なぜ寄せ棟が多くなったかについては、 ハウスメーカーの人が「寄せ棟だとどんな敷地でも建てられるから」と解説してくれました。 つまり、 期せずして同じような形状の屋根が連続しているのに、 綺麗には見えない景観ができているわけです。
どうして屋根が見えなくなったかには、 軒の深さがなく、 屋根の材料が変わったということも関係しています。 江川さんがおっしゃった「親街路性」の視点で見ると、 スケール感や軒や材料などのいろんなものが関わっているのだと改めて感じました。 親空性は軽さや重さ、 高さと関係しているのかなとも思いました。
同じ形状に並べても収まっているようには見えない景観と、 バリエーションがあって豊かさのある景観があります。 これも屋根の持つ役割と関わるのではないかと思います。
そろっているから綺麗とは限らない
小浦久子
今までみなさんがお話しされていたのは主に市街地の中高層建築についてでしたが、 住宅地の2階建では屋根の持つ意味合いが全く違っています。 中高層地域ではどんどん高くなろうとする建物の最上階をどうすべきかという話になりますが、 住宅地ではずっと続いている屋根並みをどう守っていくかという話になると思います。 軽さと重さの意味も違うと思います。
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