また、 第4種の西陣でどういう指導をするかの話し合いをした際、 建物が高層化していくのは抑えられないだろうから、 高層についての話は出なかったのですが、 建物の足元に近い部分で軒をつくろうという話になりました。 これは、 江川さんの言う「親街路性」に近いものだと思いますが、 そういう形で要綱を考えています。
京都の美観地区の場合
田端修
京都の街並みの事例を紹介したいと思います。 京都の美観地区は、 基本的には中世から江戸時代以降の街並みを美観地区にしようとしました。 しかし、 街はどんどん変わっていますから、 街の特性に合わせて5種類のランク分けをしています。
〈第1種〉伝統的建造物群保存地区。 昔ながらの木造2階建の建物が残っている所です。
日本でも一番伝統的な街並みが残っていると思われる京都でも、 実は伝統的な場所はほんのわずかしかないのです。 今日のメインテーマであるその町らしさや、 アイデンティティを残せる環境がどんどん壊れていくという状況は、 京都も同じなのですが、 だからと言って何もしなくてもいいのかというと、 そうでもない。 建物は変わっていっても街としてのまとまりやアイデンティティは作っていきたいし、 日本的なあり方が否定されねばならないとも思っていません。 残せるところは残していきながら、 場所ごとのアイデンティティが創造されていくのではないかと思っています。 そういう方法しか具体的にはないのではないかとも感じています。
〈第2種〉準伝建地区みたいなところです。
〈第3種〉鴨川から東側で、 祇園のバー街も含まれます。 「バー街がなぜ第3種やねん」という声もありますが、 東山にふさわしい街をつくりたいということで第3種に含められました。
〈第4種〉いわゆる町中です。 しかし、 いろんな事情があってど真ん中の中京区と下京区は第4種からはずされました。 市街地の中で古い伝統的な町家が残っている西陣あたりがかろうじて第4種に含まれています。 西陣は、 今どんどん商業地化して、 工場からマンションに変わってきているのですが、 弱いランクである第4種にしたわけです。
〈第5種〉新しい大通りです。
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