時事往来12
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中国

 
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中国人の居住地動向
 
改行マーク1980年代から1990年代に来日している中国出身者(台湾を含む)をみると、 専門知識・技術や日本語の習得を目的とした「留学」「就学」と、 中国残留孤児・婦人の帰国に伴って入国する人が全体の7割近くを占めているという点が特徴的である。 特に留学生・就学生が激増した1980年代後半には、 学校、 アルバイト先と低廉な賃貸住宅が立地する豊島・新宿区に都内在留者の30%近くが集中し、 この2区を取り囲むように居住地が形成されていた。 その後、 低廉な賃貸住宅の不足などの要因により、 東京では隅田川以東の各区と千葉県の京葉線沿い、 埼玉方面では埼京線・京浜東北線沿い、 神奈川では東海道・東急東横線沿いに居住地が伸びていった*2

改行マーク1992年から97年の居住地動向をみると、 全体としては依然漸増傾向にあるが、 23区では減少し、 周辺県で伸びをみせている。 特に、 東京都と周辺県の境界線上の鉄道沿線での人口比率の増加が著しい。 人口比率が0.3%を超える地域は、 北は埼玉県岩槻市、 東は千葉市中央区、 西は福生市、 南は横浜市磯子区を結ぶ広範囲にまで伸びている。 97年の在留資格別外国人登録者数をみると、 従来の「留学」「就学」は減少し、 「投資・経営」「人文知識・国際業務」「技術」など国内での就労を目的とした在留資格と「家族滞在」や「日本人の配偶者」といった資格で滞在・入国する中国人が増加しており、 新宿・豊島など都心部の低廉な賃貸住宅にこだわる必要のない層が良い条件の住宅を求めて周辺に移動し、 1都3県エリアに広がっている現状が読みとれる。

 注:
*2 『住宅時事往来』NO. 1〜5、 1992〜1993年。
外国人居住研究会『東京における外国人居住者の住まいと住環境に関する研究(その1)』住宅総合研究財団、 1992年

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