時事往来12
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第二の故郷

―西部新宿中井駅界隈(新宿駅)

 
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ミャンマー食材店 ミャンマー料理店
妙正寺川沿い
 

改行マーク西武新宿線で高田馬場から2つめに、 中井という駅がある。 この駅の北口の山手側は、 戦前の良好な住宅開発で有名な目白文化村に近接する静かな住宅街である。 一方、 南口の低地側には妙正寺川が流れ、 周囲は至って庶民的な住宅街である。 東京に長く住んでいても、 来たことがない人が多いであろうこの街は、 しかし、 在日ミャンマー人の間では絶大な人気を誇る。

改行マーク神田川をしばらく遡っていくと、 川沿いのプロムナードに面してミャンマー雑貨店が見えてくる。 雑貨店は、 ミャンマーの食料品や雑貨がおいてあり、 ミャンマー人でにぎわっている。 しかも隣にはミャンマー料理店「トップ」があり、 雑貨店での買い物帰りの人たちがたくさん来ている。 ミャンマー料理は、 香辛料が利いていてとてもおいしいし、 しかも安い。 食事中の在日ミャンマー人の話題は、 現ミャンマー政府の政策に対する不満になりがちのようだ。

改行マーク店は、 西武沿線一帯から広域的にミャンマー人客を集めている。 中井は、 いわば東京のリトルヤンゴンとでもいうことができるだろう。 もっとも最近は、 郊外にも同業態の店が立地し始めたため、 遠方の客はそちらに移りつつあるようだが。

改行マークミャンマーは、 民族構成が複雑なことで知られているが、 タイ国境周辺の少数民族であるシャン族は独立を目指して反政府闘争を行っている。 トルコ・イラク国境のクルド人と同じように、 両国のシャン族を統合して一大国家を樹立しようというわけである。 面白いことに、 ミャンマー料理店のすぐ近く、 道路一本裏に入ったところに、 シャン族料理店「VENUS」がある。 ここは、 シャン族の人たちのたまり場で、 日本語のメニューはない。 いまでは日本で静かに暮らしているかつての独立運動の闘士も、 ここにやってくる。 老闘士から故国へのやるせない想いを聞くとき、 この世の不条理を思う。

(文責:笠原秀樹/訪問時期:1997年10月)

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