大久保では、 近年、 職安通りを中心に韓国系のレストランや店舗の出店があいついでいます。 大久保は何処へ向かおうとしているのか目が離せない状況です。 今回は、 まち居住研究会のメンバーで、 かつニュースダイジェスト記者でもあるイ・スンミンさん(早稲田大学修士課程)が、 大久保の韓国人事情の最前線を取材しました。
(イ・スンミンさんのお話を事務局がまとめたものです。 )
韓国人記者が取材した
「大久保地域の韓国人事情」韓国人記者が取材した
イ・スンミンさん
◆15年前は歌舞伎町のベッドタウン
大久保地域にいつ頃から韓国人が住むようになったのか、 歴史的なことはよくわかりません。 しかし新宿歌舞伎町には多くのクラブなどがあるので、 韓国人の女性たちがたくさん働くために来日し、 15年くらい前から大久保あたりが彼女たちのベッドタウンとして発展したということです。 歌舞伎町で働く女性たちの中にはビザのない人もいるし、 初めは日本語も出来ないので、 できるだけ職場から近い所に住みたかったのでしょう。
◆韓国人女性が支える大久保韓国人社会の経済
さらに5年位前から本格的に、 大久保地域に食品店とか飲食店とかビデオショップとかいろいろ韓国人向けの商店ができてきました。 新宿では職安通りが一番盛んですが、 職安通りから大久保通りにかけても、 そいういう商店ができています。 ですから、 本格的に韓国人のコミュニティというようなものが形成されたのは5年前ではないかという話を聞きました。 朴さんという韓国人研究者の1997年の調査によると、 新宿あたりでは韓国人経営のスナックやクラブや飲食店が合わせて300店以上あり、 東京全体の4割くらいを占めています。 これは、 韓国の情報誌をもとに韓国店舗の種類と数を調べたものですが、 99年の現在ではもっと増えていると思います。 バブルが崩壊してクラブとかスナックという高級な店は減ったかもしれませんが、 逆に食堂とか、 今流行っている韓国エステなどはたくさん増えています。 そういう所で働く女性たちのみならず、 女性たちを支える各種の商店や事業所とか、 そういう所の経営者とか、 またそういう所でアルバイトとして働いている学生たちが大久保地域に住んでいると思われます。 あと韓国の商店が多いので、 便利であるということですね。 大久保地域の韓国人の社会なんですけれども、 女性たちが大久保の韓国人社会を経済的に支えているといっても過言ではないです。
◆大久保に住まいを求める韓国人たち
店や不動産屋に聞いた推定ですけれど、 大久保の韓国人の男女比率は4:6あるいは3:7で女の人が多い。 住まいを借りる人は、 家族よりも単身が圧倒的に多くて9割くらいを占めています。 年齢的には20〜30歳代が圧倒的に多い。 80%以上が若い人たちだそうです。 不動産屋の話によると、 学生と女性と就労者の比率は5:3:2ではないかという推定でした。 就労者というのは、 だいたいオーバーステイなんですが、 新宿あたりでは、 女性はクラブの台所で働きに入っているとか、 男性なら土方とか3Kと言われる仕事に就いています。 新宿北口や大久保駅周辺では民宿があり、 朝食付きで1日1,300〜2,000円くらいで泊まれます。 そこで就労者らは観光者として来日して、 仕事を探すために1週間〜1ヶ月程度泊まっています。
◆韓国人経営者たちの 心のうち
大久保を中心として主に職安通りあたりなんですけれども、 新宿一帯で韓国人の自給自足ができるほどの生活圏が形成されていると思います。 しかし、 韓国人のコミュニティ組織は出来ていません。 一昨年11月〜12月に職安通りで、 大きな店をもっている有力者が数人集まって、 職安通りの商店経営者を中心にコミュニティ組織をつくろうという動きがありました。 祭りをつくって、 将来的には横浜の中華街のようにしようとしたようですが、 力が足りなかったのか、 結局組織化されなかったですね。 韓国人経営者の意識は、 人によっても違うんですが、 私の知っている限りでは、 男性ならば出来るだけ長い間、 あるいは一生日本に住む感覚を待っている人が多いと思います。 子どもたちも日本で一緒に住むつもり。 女性の経営者は年をとったら韓国へ帰りたい。 お金をたくさん貯めて帰りたいという感じです。 歌舞伎町等で高給をとっている女性の場合は、 お金が貯まると、 日本で同じ商売や美容院、 食堂等の経営を始めたりします。 韓国へ帰国するよりも日本でもっと金を稼ぎたいと思うようです。 また国際結婚も少なくないと思います。
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