阪神大震災復興市民まちづくり支援ネットワーク
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9 市街地緑化活動


〈事例13)〉

「ガレキに花を咲かせましょう」から始まった市街地緑化活動

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倒壊した建物敷地での種まき(神戸市東灘区・岡本地区)
 被災地では、 市街地緑化活動が活発に行われてきている。

 一瞬にしてガレキと化したまちは、 震災から数ヶ月たった夏頃になると見わたすかぎり更地だらけとなった。 公費解体により、 全半壊した建物の撤去とともに、 まだ修復可能な建物までもがなくなってしまった。 この、 ガレキ混じりの更地のまち、 砂漠のようなまちのなかで、 せめて暑い夏を快適にすごしたい、 復興に向けてみんなが何とか明るく前向きに進んでいきたい、 といった気持ちから「ガレキに花を咲かせましょう」の活動は始まった。

 復興市民まちづくり支援ネットワークのメンバーらが、 95年6月くらいから活動を始め、 こういった活動が契機となって震災から一年後に緑の専門家ら集まって「ランドスケープ復興支援会議」(阪神グリーンネット)が発足した。

 阪神グリーンネットは、 ランドスケープアーキテクトや造園業者、 大学研究者、 行政関係者など、 幅広いメンバーが集まっており、 全国各地からの花や緑の支援の窓口となり被災者に届けたり、 まちづくり協議会と連携して生け垣緑化やポケットパークづくりを実務も含めて行うなど、 実践的な取り組みを行っている。

 阪神グリーンネット以外にも、 多くの緑関係のグループが生まれた。 代表的なものとして、 建築家の安藤忠雄氏らが始め兵庫県がバックアップしている「ひょうごグリーンネット」や、 香川で行われているドングリ銀行と協調した「ドングリネット神戸」などがある。


復興市民まちづくりにおいて果たしている役割

 被災地で展開されている市街地緑化活動は、 花と緑でまちにうるおいを与えるという範囲を超えて、 震災がもたらした状況に効果的に対応しており、 復興に重要な役割を果たしている。

〈景観づくりとして〉・・・・震災後急増した工業化プレハブ住宅の景観や、 経済的な理由などで外構まで手の回らない味気ない景観を呈している状況に対応し、 市民の景観づくりへの財政的・技術的支援により、 良好な景観づくりを促進させる役割を果たしている。

〈まちづくり活動として〉・・・・誰もが気軽に参加でき、 ほとんどの人が同意できる取り組みであり、 なにかとぎすぎすしたまちづくりをなごます役割も果たしている。 また、 女性の専門家も多く女性の得意分野であることも特徴のひとつである。

〈被災者の心のケアとして〉・・・・この大震災では、 被災者の心の傷をいやすことが大きな課題となっているが、 花や緑は、 被災者の心をなごませる役割を果たしている。 まちづくり協議会やボランティア団体などにより仮設住宅や地域住民の被災者に贈られる活動がさかんに行われている。 また、 ひょうごグリーンネットの白い花の咲く木を植えるという活動は、 震災犠牲者への鎮魂の意味も含まれている。

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