阪神大震災復興市民まちづくり支援ネットワーク
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4 シルバーハウジングとLSA(LIFE SUPPORT ADVISER)

シルバーハウジング制度の概要

 「シルバーハウジング・プロジェクト制度」は1987年度に建設省・厚生省により創設されたものであり、 「住宅施策と福祉施策の連携により、 高齢者が地域社会の中で自立して安全で快適な生活を営むことができるように、 ハード・ソフト両面にわたり高齢者の生活特性に配慮した住宅をモデル的に供給する。 」ものである。 具体的には、 (1)緊急通報システムや手すり、 開閉の容易な引き戸、 団らん室等の設備、 (2)安否確認や情報提供、 24時間常駐の生活相談員(LSA)の配置等の基本サービス、 (3)デイケアセンター等の併設施設による給食・入浴サービス等の選択サービス を特色として挙げることができる。 震災前、 神戸市においては兵庫区内にシルバーハイツ 菊水を1987年に建設し、 その後1994年までの間に、 8団地274戸の供給を行っていた。


LSA

 シルバーハウジングでは10〜30戸に一人のLSAが配置され、 必要に応じて「生活指導・相談、 安否の確認、 一時的な家事援助、 緊急時の対応等」を行う。 シルバーハウジングの基本要素は老後の在宅生活を支援する「安心」づくりであるが、 それに加え、 主体的・能動的な生活を営むことができる「いきがい」づくりも重要な要素であるとされ、 その実現のための重要な役割がLSAにもとめられシルバーハウジングの是非を決定するキーパーソンである。 LSAの対応のシステムとしては「常駐型」・「派遣型」・「巡回型」の3つがある。 「常駐型」は原型であり、 標準型である。 「派遣型」・「巡回型」はLSA用の住宅を整備する必要がなく事業運営上のメリットがあり、 また入居高齢者とLSAの関係をある程度ビジネスライクなものにできる新しいタイプである。


復興住宅におけるシルバーハウジングの展開

 被災市民の中には極めて高齢者が多く、 復興住宅においては格段の高齢者対応が求められていた。 公営住宅の建設に当たってはシルバーハウジングの全面的な展開が検討され、 兵庫県、 被災市により積極的に実施された。 神戸市においては、 災害公営住宅の建設のなかで15団地-1,111戸の供給を行った。 ハードの整備は順調に進んだが、 ソフトの要である併設福祉施設の整備やLSAの確保は簡単ではなく、 「福祉施設隣接・近接型」や「LSA派遣型」を活用した。 「福祉施設隣接・近接型」は隣接・近接する福祉施設により生活支援サービスや緊急時の対応を行うものであり、 「LSA派遣型」は、 昼間は団地内にLSAを派遣し支援業務を行い、 夜間は民間セキュリティにより緊急時の対応を行うものである。


緊急自動通報装置の設置

 シルバーハウジング以外においても、 災害公営住宅には高齢居住者が多く、 特に単身高齢者や高齢者のみの世帯が入居する可能性が高い小規模住戸については、 入居者の安心・安全のため緊急自動通報装置を設置している。 この装置は、 緊急時に非常用押しボタンを押すことにより、 あらかじめ登録してある親戚や知人宅に電話回線を通じて緊急事態発生の通報がなされるものである。 逐次、 設置戸数を増やし、 約6,300戸の住宅に設置される予定である。

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