阪神大震災復興市民まちづくり支援ネットワーク
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5 神戸復興住宅メッセ

 市民による住宅の自力再建を総合的に支援するための組織である。 活動内容は、 住宅に関する一般的な情報の提供はもちろん、 敷地に合わせた住宅モデルプランの提示、 住宅メーカー・工務店の紹介まで幅広い。 土地や建物に関する法律上の相談やマンションや賃貸住宅の建設などの土地活用のアドバイスなども行った。 建設省・住宅金融公庫の後援のもとに神戸市住宅供給公社と神戸市が共催し、 民間のハウスメーカーや工務店、 設計事務所、 コンサルタントなど住宅の再建やまちづくりに関するあらゆるセクターの力を結集した取組である。 震災直後から始まった市民の住宅復興活動をタイムリーに支援・誘発した。 「復興住宅メッセ」は震災2か月後の1995年3月17日に公表された神戸市震災復興住宅整備緊急3か年計画(案)の中で「まちづくりと連携した住宅整備」に関する施策の一つとして次のように提案された。

復興住宅メッセ(仮称)の開催

 神戸市住宅供給公社の主催により、 耐震・耐火等の防災すまいづくりや、 協調建て替えをテーマとした住宅情報拠点を設置する。 そこで、 必要な計上の相談を行うとともに、 市民と地元工務店、 住宅メーカー、 民間ディベロッパー等との住宅建設に関する契約システムを整備する。


神戸復興住宅メッセの概要

(1)低層住宅部門

 1997年9月末時点での集計結果によると、 協賛住宅メーカーの相談ブースでの相談件数は15,859件で成約件数は708件である。 市民が具体的に相談・体感できる住宅展示場・ショールーム・メーカー相談ブースがうまく機能し、 また融資・法律・税務などの総合的相談業務サービスによる相乗効果もあり、 所期の成果を挙げた。 また建築士やCADオペレーターのチームが相談者と細かい打合せの上オリジナルプランを作成し、 建築を地域の工務店に繋ぐ「ホームビルド・アシスト・システム」での相談件数は1,387件、 請負契約に至ったのは32件となっている。

(2)集合住宅部門

 1998年3月時点での相談件数は609件、 そのうち土地活用企画の提案をおこなったものが113件、 提案企画の成立が40件である。 マンション建設事業(289件)が相談の半数を占め、 共同建て替え事業(38件)・マンション建て替え事業(18件)の分野でも一定の役割を果たしている。

(3)街区コーディネート部門

 1998年2月時点での相談件数は79件、 そのうち企画提案数は29件で事業化したものが8件である。 「灘南通5丁目共同建て替え計画」はメッセ開設と同時に支援を開始したものであり、 わずか3件の共同化という小粒なものであるが、 メッセの実力を世に知らしめるものとなった。 そのほかの活動内容としては、 味泥地区・東川崎地区などのまちづくり協議会活動の支援や区画整理事業の換地計画策定への協力、 地域に出向いての相談会や勉強会の開催など多岐にわたるものであった。

 メッセ開設後、 時間の経過とともに各会場への来場者は減ってきたが、 一方では地域に出向いての活動の重要性が高まってきた。 メッセの活動も「鷹取東モデルハウスのオープン」や「六甲道駅復興まつり住宅相談会」など地域に密着したものがウエイトを増すことになった。


復興住宅メッセの評価と今後の展開

 神戸市役所に至近の国有地を震災後3年間の期限付きで借り受けて開催したため、 当初からメッセの開設期間は3年間と決まっていた。 メッセに参加した民間企業にも3年間だけということでがんばっていただいた。 開設当初は「被災市民の住宅復興に関するニーズに十分応えることができるだろうか。 」の不安のなかで、 なかば手探りの状態で活動してきたが、 活動を終えた現在ではメッセの成果を評価する声も少なくはない。 むしろ、 3年を経過した今でも被災市街地に空き地が多く残る現状から、 空き地に住宅が再建され、 神戸の真の復興がなされるためには、 今こそ「復興住宅メッセ」が果たしてきた役割が求められているともいえる。 メッセの新長田会場は今「住宅再建相談所」と呼び名を変えて活動を続けている。 ただし、 運営は神戸市住宅供給公社であり資金も国・神戸市・基金の公的資金による公的機関である。 本来のメッセが持っていた公民あらゆるセクターによる総合的な取組として展開されることが熱望される。

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