阪神大震災復興市民まちづくり支援ネットワーク
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住宅再建の状況
住宅再建は被災市街地で一様ではなく、 地域により大きく状況を異にしている。 市民による自力再建や民間業者による住宅建設、 さらには公営住宅などの公的賃貸住宅の建設も、 地域における需要と供給にギャップを生じており様々な課題をもたらしている。 特に災害公営住宅に関しては仮設住宅居住者が望む地域での建設が十分でないことから「ミスマッチ」と批判する声が少なくない。
住宅着工統計にみる再建
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表6 神戸市における区別の住宅復興状況(1998年4月現在)
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神戸市内各区別の地震による滅失戸数と再建戸数は表-6の通りである。 基盤が整備され住宅立地としてのポテンシャルも高い被災市街地東部での建設が活発であり、 既に滅失戸数を大きく上回る戸数の住宅が供給されている。 戸数の点からだけ見れば市街地東部での住宅の復興は終わったと言えるが、 供給過剰による民間賃貸住宅の空き家の発生や分譲マンションの売れ残りなど、 折からの経済不況と相まって深刻な問題を露呈しつつある。 一方、 被災市街地西部では全般的に住宅建設が低調であり、 長田区における住宅復興率は57.3%にとどまっている。 原因はいくつかあるが、 被災の程度の大きい地域で広範囲に土地区画整理事業や再開発事業が進行中であり、 建築着工までの前段階の調整に時間を要していること、 基盤未整備の密集地域では建築基準法上の基準クリアーが困難で再建ができない零細宅地が多いこと、 そもそも被災高齢者には資金や再建意欲が欠けていることなどが大きな原因と考えられている。 被災市街地西部での市民による住宅再建を活発化するためには、 建築基準法の柔軟な運用などの規制緩和や使いやすい融資制度、 さらには再建にいたるまでのあらゆる障害を被災高齢市民と一緒になってのりこえる役割を果たすコーディネーターの派遣制度などの、 多面的でかつ手厚い支援制度の整備が必要である。
災害公営住宅の供給状況
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表7 神戸市における災害復興公営住宅の建設戸数および募集倍率
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災害公営住宅等の低家賃公的賃貸住宅の各区別の供給状況は表-7のとおりである。 今回、 長屋・木賃の被災の特に著しかった西部市街地での供給は十分とは言えず、 応募倍率も高い。 供給と需要の立地上のギャップ(「ミスマッチ」といわれている。 )は、 ある程度は神戸市の住宅復興3か年計画においては予測されていたところではある。 震災後3か年で大量の公的賃貸住宅を供給する必要性から、 震災直後においては土地の取得が比較的容易な既成市街地外に一定量の適地を求めるざるを得なかったからである。 被災市街地には本来、 ある程度の規模の集合住宅建設適地が少なかったうえ、 倒壊建築物の瓦礫の処理や地振動による土地の変形など予想を超えた障害の山積により、 早期の用地取得に限界もあった。
日時の経過とともにミスマッチを解消するための努力が積み重ねられた。 公団住宅や民間住宅の借り上げや買い取りによる公営住宅供給は被災市街地内を中心に行われた。 JR鷹取工場の移転跡地はあらたに区画整理事業の区域に編入され、 基盤の整備と合わせた住宅の建設が進められている。 震災後3年半が経過した時点で、 市営住宅に入居を希望しながらかなわないまま仮設住宅で生活している被災世帯は約1,400世帯である。 「ミスマッチは解消された。 」ということはできないが、 時間の経過に伴い新たに発生した空き家公営住宅も活用しながら、 一刻も早い仮設住宅の解消に懸命の努力が続けられている。
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