接道条件の緩和
建築基準法上は、 建築基準法42条によって道路が位置づけられており、 この道路に2m以上接していなければ、 基準法上の敷地とはならない。 今回の震災では、 こうした接道条件を満たしていない宅地に建てられた既存不適格建物が集積するインナーエリアが、 壊滅的な被害を受けた。
未接道宅地の場合、 再建するためには接道している隣接宅地との共同化や、 隣接する敷地同士で共同化等により、 2M接道を確保することが必要となる。 しかし、 接道している宅地と共同化を進めようにも、 接道宅地には共同化への積極的な必然性に乏しく、 また2以上の未接道の宅地が隣接している事例も必ずしも多くはない。 つまり、 建築基準法上の道路の規制に関する緩和が行わなければ、 被災地で多くの建物の再建が不可能となることが予想された。
そこで、 神戸市は、 震災の2ヶ月後に「震災復興のための戸建住宅の建て替えに対する法第43条ただし書の適用」「兵庫県建築基準法条例の接道義務規定を満たしていない既存不適格であった建築物(共同建物または長屋)の震災復興のための建て替えに場合の取り扱い」等により、 接道義務の規制緩和を行うこととした。
「震災復興のための戸建住宅の建て替えに対する法第43条ただし書の適用」が適用される建物とそのケースは以下のとおりである。
適応される建築:
(1)阪神・淡路大震災後の復旧のための建替であること。
(2)震災以後3年以内に工事に着手すること。
(3)2階建て以下の戸建住宅。
(4)原則として従前の居住者が引き続き居住すること。
適応されるケース:
(1)2つの通行可能な幅員(概ね0.6M以上)の専用通路を有し、 かつ通路の幅員の合計が2M以上。
(2)専用通路の幅員が1.2M以上あり、 かつ避難の際、 隣地を通って道路までの避難が可能であること。 専用通路と避難通路の幅員の合計が概ね2M以上。 ただし避難通路の確保については、 関係権利者の同意書が必要。
(3)専用通路の幅員が、 1.2M以上で、 隣の専用通路の幅員も1.2M以上あり、 かつ2つの専用通路の間に塀等がなく双方とも有効に使用できること。 ただし、 2敷地の各通路を確保するために双方の権利者の同意書が必要である。