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7 総合設計制度

 総合設計制度は、 敷地の共同化や大規模化による土地の有効な利用の促進とともに、 公共的なオープンスペースを確保することで、 土地の高度利用と市街地の環境整備を図るものである。 敷地条件や公開空地の形状・面積等について一定の要件を満たした建築計画について、 容積率や高さ制限等の緩和措置を受けることができる。


「神戸市震災復興型総合設計制度」

 この制度は平成7年4月13日より、 適用されている制度である。 特にマンション等の容積に関する既存不適格建築物の建替えに限り、 公開空地の確保による容積率の割増し条件の緩和と割増し係数の増大、 従前の日影条件を越えない範囲内での日影規制の緩和等により、 従前に近い容積率の確保、 高さ・形態に関する規制の緩和を図り、 再建を支援するものである。

 適用要件は、 震災によって被災を受けた建物の再建であることである。 震災復興型と名付けられているように、 この制度によって数多くのマンション等の再建が可能となったことは評価されるが、 現行の建築基準法では既存不適格であり、 次の建替時には、 そのときの制度が適用されるため、 現在の面積が確保できないものが出ることが危惧される。


「神戸市インナー型市街地住宅総合設計制度」

 神戸市では、 平成7年12月1日、 従来の「神戸市総合設計制度」を拡充し、 新たに「インナー型市街地住宅総合設計制度」を創設した。 これは、 従来のインナーエリアでの住宅供給型の総合設計制度に較べ、 震災により被災した建物での住宅供給ならびに共同化をより一層推進するため、 様々な要件を緩和したものである。

 適用対象地区は、 灘区、 中央区、 兵庫区、 長田区および重点復興地域の内、 第2種住居専用地域、 住居地域、 近隣商業地域、 商業地域、 そして準工業地域である。 緩和の内容は、 (1)制度適用要件としての敷地面積を、 従来の500〜2000m2から全て500m2に低減したこと、 (2)最低公開空地率を、 従来であれば、 建ぺい率60%で空地率46.7%であったものを36.7%に引き下げたこと、 (3)容積割増率が、 1.5倍から1.75倍となったことである。 これらの緩和措置とともに、 公開空地の評価の緩和や共同住宅における付置義務駐車場の特例措置がとられた。

 その結果、 基準建ぺい率60%、 基準容積率200%、 有効公開空地率0.7の場合、 従来の市街地住宅型の総合設計では容積率が310%程度であるのに対し、 この制度拡充により、 350%の容積の建物を建てることが可能となった。

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