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8 共同建替

−その背景としてのインナーエリア問題
 阪神・淡路大震災による被害の特に大きかったインナーシティは、 震災前から、 物的・社会的・経済的問題が内在していた地域である。 インナーシティでは、 道路などの基盤が不十分で、 狭小宅地が多く、 老朽住宅が密集する住宅地や住工混在地が形成され、 さらに権利関係が輻輳している。 また、 居住者に高齢者が多く、 住宅再建等の新たな展開への希望が少なく、 また、 そうした希望があったとしても、 新たな融資を受けることが困難といった、 社会的・経済的問題を抱えている。

 こうした問題の中でも、 特に宅地が接道不良や狭小のため、 個別での再建が困難な状況に対応する方策として共同化がある。 これは、 いくつかの宅地をあわせて1敷地とし、 接道不良を解消するとともに、 その上に区分所有による共同住宅を設けることで、 敷地内空地や個々の住戸の居住面積を確保するものである。

 この共同化の試みは、 震災前から広く行われてはいたが、 権利関係の調整等、 困難な課題を時間をかけて、 一つ一つ解決していかなければならない。 従って、 共同化の必要性は高いものの、 必ずしも実現された事例が多いとはいえない。

 しかし、 被災地では、 共同化を行わなければ、 再建が不可能な宅地が大量に現れ、 またその解決にも、 従来より一層の短期化が求められているのである。


共同建替に関する助成制度

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表3 共同建て替えに関する助成制度一覧表
 社会的必要性の高い、 この共同化については、 様々な事業による補助や専門家の派遣による助成制度がある。

 事業については、 大きくは、 前もって定められた地域を対象とするものと、 特定の対象地区ではなく、 条件に合えば助成を行うものの2つからなる。

 対象地区が定められている事業としては、 「住宅市街地総合整備事業(住市総)」と「密集住宅市街地整備促進事業(密集)」があり、 特に対象地区が定められていない事業としては「優良建築物整備事業(優建)」が、 また(財)阪神・淡路大震災復興基金からの補助事業として「小規模共同建替等事業」がある。

 それぞれの制度毎に、 目的、 対象地区、 補助の要件やその内容に違いがある。 別表に、 それらの主な内容を整理する。

 しかしこれらの制度は任意事業であるため、 土地区画整理事業や市街地再開発始業の区域のような公共主導による制度の運用や支援がある場合とは異なり、 関係権利者による発意と合意形成、 様々な権利の調整や具体的な計画案の作成をはかっていくためのコンサルタント派遣等の支援がきわめて重要である。

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