阪神大震災復興市民まちづくり支援ネットワーク
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2)神戸まちづくり協議会連絡会に期待すること

神戸まちづくり協議会連絡会事務局長 中島克元

「きんもくせい」33号

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神戸まちづくり協議会設立総会('96.7.24神戸アートビレッジセンター)
 「まちづくり」は、 平時の場合には、 少なくとも3年から10年位の年月をかけて少しずつ少しずつ進展していくものである。 「まちづくり」のコンセプトを決定し、 それを実現するためのインフラの整備にはじまり建物の建設計画、 そして街並形成などなど。

 私達の「松本地区まちづくり協議会」は、 阪神・淡路大震災で被災したことから神戸市によって「土地区画整理事業」に指定されたことにより作られた。 そのため「土地区画整理事業」の地域の指定から「まちづくり提案」の提出まで7ヶ月という異例のスピードで進み、 「地区計画」については3週間で決定してしまった。 全てが異例ななかで進んできたことについて、 慎重論を唱える方からの厳しい指摘もあったが、 全ては一日もはやい復興への住民の熱い願いがあったために大きなトラブルもなく進んでこれたと思う。

 この一連の運動を展開してきたなかで、 現行法の枠組みで行われていく「土地区画整理事業」について正しく勉強すればするほど、 この制度は「面的整備事業」であり、 住民の望んでいる「復興」には、 基本にこそなれ、 この制度一つだけで全てが解決するものではないことを実感した。 新たな助成事業のお願いをするにしても、 一地域の協議会としては限界があり、 様々な連絡会に参加し少しでも役にたつことはないものかと藁にもすがる気持ちで会合に臨んできたが、 ことごとくがなにかしら特定の目的の有る団体が主催しており、 私達の現状の報告を聞くことはあっても残念ながら余り役にたつものはなかった。

 そこに日本建築学会近畿支部環境保全部会からの呼びかけに応じた17の地域の「まちづくり協議会」が発起人になって「神戸まちづくり協議会連絡会」を作ろうということになった。 私達はここに活路を見い出せそうな感触をもった。 特定の目的をもった団体によるものにコントロールされることなく、 「まちづくり協議会」のみによる自主的な団体としてスタートしようとし、 去る7月24日33地域の連絡会として発足するに至った。

 今後の連絡会の活動の大きな柱は、 「まちづくり」に役にたつ情報の交換である。 そして、 一日もはやい「復興」のためにともすれば「要求団体」としてしか機能しなかった「まちづくり協議会」から実力をもった「実践部隊」となれるように努力していきたいと思っている。 対立から共生へと運動を転換できなければ「まちづくり」は、 たいへんな重荷となってしまう。 「まちづくり」を実現していく上で、 各々の立場の住民や、 行政機関の人達は全力を尽くすことは当然だが、 人間というのは完全体ではなく弱い人ばかりで、 お互いが弱い部分を補い合ってこそ大きな力となることができる。 「まちづくり」を進めているリーダーにかかる精神的ストレスは、 計り知れないものがあり、 幹部の人達にしか解らない苦労もある。 「苦労」して「苦労」してその結果が「徒労」になってしまわぬように、 励まし合っていきたいと思う。

 阪神・淡路大震災を体験した私達は、 人と人との間のコミュニケーションの素晴しさ、 助け合うことの素晴しさを学んだ。 今後は、 この豊かにでき上がったコミュニケーションを如何にして形にしていくかということであると思う。 「三人寄れば文殊の知恵」というじゃありませんか。 話し合いましょう。 知恵を出しあいましょう。 そして一日もはやい「復興」の為に努力しましょう。

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