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7)権利の整理とあわせた共同化はまだ町住まいづくりの会

神戸大学 平山洋介

「きんもくせい」41号

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敷地と権利関係の整理
共同再建敷地計画〈1階平面図〉
完成予想模型
 

 灘区のはまだ町すまいづくりの会の共同再建は、 敷地約500m2に、 権利者住戸7戸、 保留床2戸の3階建て共同住宅を建設する小さなプロジェクトである。 この再建プロジェクトの目標は、 定住希望者の全員が住み続けることである。

 定住希望者の状況は、 (1)敷地条件から個別再建は不可能で共同再建しか方法がない、 (2)借地権者が多く、 その地主は1人であった が権利の整理が難しい、 (3)未接道の残存建築があり、 その世帯は動く意思がない、 (4)年金生活の定住希望者は資金力が低い、 (5)個々の権利者の状況が多様(相続問題等)であり、 共同再建に向けて多くの課題を抱えていた。

 再建にむけて、 40回以上の住民会合、 地主との交渉、 関係諸機関と多数の専門家への技術相談、 建築計画の改変を繰り返した。 その結果、 プロジェクトのフレームとして、 (1)残存建築はそのまま残して敷地内通路を引き込んで接道させる、 (2)この残存建築を挟んで、 地主側と共同再建側に敷地を分割する、 (3)地主側敷地の借地権は地主に売却し、 共同再建側の底地を買い取って権利関係をスッキリさせる、 (4)地主は賃貸住宅を建て、 年金生活者に一代限りの低家賃で賃貸する、 という解決に至った。 共同化に際しては住市総の補助を最大限に活用している。

 借地のままでの共同再建は一般的に難しい。 RC建築を建てることへの地主の同意、 更新料と借地料の交渉、 借地権では担保にならないので融資を受けられない、 などの問題が大きい。 このプロジェクトでは底地権と借地権の交換という解決方法の1つのモデルを提示している。

 共同再建は基本的に民間事業である。 地主との借地権割合の交渉、 従前敷地権条件に応じた権利配分、 建築の基本路線、 再建住宅の効用比の設定、 住戸の位置決め、 などは関係者全員が合意できるように自分たちで調整する必要がある。 住民が相互に励まし合い、 楽しい企画を織り交ぜて話し合いを継続し、 目標を曲げずに進めた結果である。

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