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12)ミニ区画整理による街区再建(神前地区(神戸市灘区))

都市・計画・設計研究所 岩崎俊延

「建築と社会」1998年1月号

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神前地区位置図
基本諸元
土地状況図
区画道路の整備
 

 平成8年1月神前町まちづくり協議会が発足し、 具体的かつ早急な復興に取り組むべく、 とりわけ被害の大きかった当街区をモデルスタディとしてとりあげ、 復興まちづくり計画の検討をはじめた。

 この地区では、 接道条件の不備や供給処理施設の輻輳等が住宅再建を阻害していたため、 総合的な環境基盤の整備による街区復興を目指した。

 約50m×100mの街区を事業区域として、 既存の私道と里道を軸に区画道路の整備と換地により、 すべての画地の接道条件を確保するとともに供給処理施設の整備を行うことにした。 巾員は接道の最低条件ではなく、 防災・建築条件・通行の利便性などの観点から、 4.5mとした。

 区域規模が小さいことから地区内で公園の確保を行わず、 周辺街区で整備を目指すこととした。

 震災復興土地区画整理事業とすることで、 保留地や資金搬出によらず、 補助金によって区画道路、 供給処理施設、 宅地等を整備することとした。

 震災復興事業として認可されるためには、 平成9年1月17日までに組合が設立されることが必要だった。 このため、 組合設立準備会の設立(H8. 6)→神戸市への「技術援助申請」(H8. 7)→「組合設立認可申請」(H8. 10)→「組合設立認可」・「事業計画認可」(H8. 12.17)→「神前町2丁目北震災復興土地区画整理組合」設立(H9. 1.14)と、 “分刻み”のスケジュールが、 決断を促す大きな要素となった。

 〈接道条件が確保でき、 安心して住宅が建てられる〉〈緊急車がアクセスできる安全な環境になる〉〈道路、 上下水道などの生活環境基盤施設を神戸市が管理してくれる・・・ハンコを集めたり、 負担でもめることもなくなる〉〈土地の境界のもめ事がなくなる〉さらに、 〈補助金により整備できる〉といった現実的なメリットが、 事業化実現の大きな背景である。

 事業区域(4901m2)が狭く、 換地の自由度が低いこと、 事業の円滑な進捗のため基本的に清算金処理をさけたいといった条件から、 現位置型換地とし、 地先道路の一部を負担する“面積式”減歩方式を基本に実施の設計を進めた。

 平成9年6月下旬に換地規定及び仮換地を総会で承認し、 仮換地の通知を開始した。 同9月末に起工式を行い、 早期の事業完了を目指して工事準備等を進めている。 また、 移転対象の住宅再建に取り組む一方で、 一般の高齢地権者の住宅再建について、 相談・支援を進めているところである。

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