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11)きんもくせい通り協調住宅

コー・プラン 小林郁雄

「きんもくせい」42号

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'96.3時点のきんもくせい通り(25号に掲載)
現在のきんもくせい通り、 左側の3階建てが当該建物。 通りに面した敷地はほぼ再建された。
きんもくせい通り協調住宅全景
「きんもくせい通り協調住宅」建築概要
 

 復興市民まちづくりネットワーク事務局のあるコー・プランの事務所は、 阪神大震災によって全壊した。 周辺の建物の被害も大きく、 9割以上の建物が解体された。

 解体整地の終わった2月初め頃からお隣さんたちと共同で再建する話し合いを持ってきた。 最終的にお隣との2敷地の共同再建となり、 96年2月に起工式を行い、 11月に竣工した。 震災後指定された住市総事業での竣工第1号である。

 当該敷地は258.2m2である。 住市総区域に位置し、 住市総の適用用件である敷地規模200m2以上を何とかクリアーできた。

 この建物は、 建築基準法上は、 1棟扱いであるが、 各々の敷地に建物を“0ロット協調化”(隣戸間の壁の隙間をあけない)により建てており、 敷地の共有化はしていない(すなわち、 マンションのような区分所有建物ではない)。 このような建物のメリットとしては、 建築工事の効率化、 敷地の有効利用、 柔軟な増改築への対応性などがあげられる。

 街並みの形成を意識したデザインもこの建物の大きな特徴である。 建物全体を前面道路から2mセットバックさせ、 そこを緑地とし(住市総の適用条件にも対応している)、 道路空間にゆとりをもたせるとともに、 その上部をパーゴラとすることによって潤いのある景観形成を目指した。 協調化した建物の外壁は、 イエローとブラウンに塗り分けられ、 それぞれの“個”を意識しつつも、 パーゴラにより一体感のある景観を生み出すことが出来た。

 住市総事業の適用及び補助率の震災特例(2/3→4/5)により、 共同施設整備費、 設計費など合計で事業費の約2割の補助を得ることができ、 事業推進に当たっての大きな力となった。 しかしながら、 途中でこの計画から撤退を余儀なくされたYさんは、 その原因が木造からRC造へ建替えるに当たっての膨大な借地権の更新料がネックとなったことを考えると、 補助率のアップなどもっと共同建替えに魅力のある施策を講じても良いものかと思う。

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