阪神大震災復興市民まちづくり支援ネットワーク
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19)住吉地区

神戸大学 重村 力

「きんもくせい」27号

 住吉復興支援グループは、 1995年4月以来、 東灘区住吉地区の被災、 復興状況について、 定期的に調査を行うとともに、 この地域での復興支援活動を行っている。 この中から以下のまちづくり課題がみえてきた。


1)「公費除却が過剰に行われた」

 倒壊に加えて、 公費解体の進展によって、 特に、 密集地域の狭小敷地戸建て住宅と、 共同住宅の多くが減失した。 これは、 アメリカの住宅小切手制のように、 修繕が除去建替えか、 移住かを選ばせる制度であれば、 より多くの修繕が出たものと推察される。


2)「木造共同住宅の代替物が建たない」

 山手幹線から国道43号線までの約130haのなかで、 約3,600棟の内1,300棟が倒壊減失しているが、 95年12月現在では407棟が再建に着手している。 長屋建て14棟の敷地の再建では、 長屋建てに戻ったもの1棟、 非木造業同住宅に替わったもの1棟で、 木造賃貸アパート12棟の再建宅地については、 長屋建てに変わったもの1棟、 非木造業同住宅に変わったもの7棟で、 それぞれ減少していく傾向である。


3)「仮設住宅と公共代替住宅は4分の1」

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住宅滅失世帯の現在の住居
 96年1月に住吉地区全域で、 住宅を喪失したと見られる世帯2,468世帯に郵送アンケートを行った。 回収は630票である。

 県外避難者は27%にのぼり、 遠くはブラジルやアメリカ西海岸、 マレーシアからなどきわめて広域から返送されてきた。 これらの回答者の現在の住居を見てみると、 公的仮設住宅は20%、 公共代替住宅は6.2%で、 避難者の住居の代表として仮設住宅を考えることは大変危険であることがわかった。 特に、 親戚の家、 友人の家、 関係者の供給等が17.5%もあった。


4)「権利問題と融資資格がネック」

 60%の人々が元の場所に戻りたいと回答している。 75%の人が住吉地区内に戻りたいとし、 東灘区内で85%を越え、 神戸市内では90%の人々に達する。

 では、 人々はなぜ戻れないのか。 自由回答欄を見ると、 土地、 家屋の権利問題と融資資格が、 大きな問題として浮かび上がってくる。 既存不適格敷地問題の対策とともに、 これらの復興阻害要因への緊急対策が必要であろう。

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