陳情書(全文)
私たちの住む森南地区は、 この度の震災で多大な被害を受け、 9割以上の家屋が倒壊し、 現在も学校や集会所で避難所生活を送っている人々がたくさんいます。
そのような状況の中、 何とかもう一度自分たちの家を建て直し、 もとの住みよい町に帰りたいと考えはじめた時、 神戸市より「災害に強いまちづくり」をするため建築制限区域に指定され、 神戸市も私たちのまちづくりを支援してくれ、 神戸市の協力のもとに、 もとの住みよい町に復興できるものと期待しておりました。
そして、 2月22日、 神戸市の相談所が設けられ「森南地区のまちづくり案」が都市計画局の人々によって説明されました。 その内容を要約すると、 ・JR新設駅入口を南側にもつくり、 駅前広場をつくる。 ・本山第3小学校の北側を通る道を東へ延ばし、 駅前広場をつなぎ芦屋市でJR沿いの道につなぐ幅員17mの道路をつくる。 ・これを土地区画整理事業で施工する。
以上は近く都市計画決定するのでそれ以降の変更は不可能である。
- 広い道路沿いは耐火・共同化する。
- 稲荷筋を13mに拡幅する。
- 児童公園を新設する。
これは住民を集めての説明会としてではなく、 各個人が相談所に足を運んだ人にだけの説明でした。
私たちの住む森南地区は、 戸建の住宅が7〜8割の中にマンションなどの共同住宅がまばらに建つ環境の良い住宅地です。
そこへ駅ができ、 地区内を東西に抜ける道路ができれば、 今でも山手幹線が芦屋で行き止まりとなっていて、 その抜け道として森南地区に流れてくる車で、 日常的に事故が多発している状況であるのに、 この道はまた2号線のバイパスとして通過交通の量が増えるのは目に見えており、 それによる排気ガスや騒音の問題、 また地区内で親しんできた森公園とも分断され、 今までの環境は完全に破壊されてしまいます。
また仮にこの道が芦屋に抜けたとしても、 東は芦屋川、 西は十二間道路にぶつかり、 何ら有効な道とは考えられません。
これは長年にわたり、 山手幹線が芦屋に抜けないがための立案であり、 山手幹線が通れば2号線との間(南北に300mの間)に17mもの幹線道路が必要であるかどうか疑問に思われます。 救援活動のために道路が必要であるなら、 山手幹線を東西で結ぶことこそ優先されるべき時ではないでしょうか。 また、 今回の震災であらゆる道路が車で埋まり、 救援活動の支障になったことも考え合わせると、 道路があれば救援できるという話は成立しないと実証されたばかりです。 それに、 今回は、 たまたま早朝に起きた地震で車の通りも少なかったのですが、 これが2〜3時間後のラッシュ時に起こっていれば、 車の衝突、 そしてじゅずつなぎで炎上していくのは当然考えられる事で、 道路があれば避難できるとはいいがたいと考えます。
また、 防災的に見ても、 延焼・類焼をくい止めるために17m幅員の道が必要なら、 JR軌道がその役目を果たしてくれると充分考えられます。
現在、 避難所生活をしている人々の他に、 家はたて残ったけれど、 水もガスも復旧していない状況で、 その不便ゆえ他府県に避難している人もたくさんあり、 この「森南地区のまちづくり案」があることさえ知らない人々がたくさんいます。 大切な「まちづくり」の話が、 住民不在の中で決定されようとしているのです。
笹山市長は震災前、 神戸市マスタープランに「ぬくもりとやさしさの町」を掲げられていますし、 貝原知事も「まちづくり」は住民の参加と合意に基づきすすめられると発言されました。
ところが「やさしさ」も「参加」も「合意」もないまま「まちづくり」がされようとしているのです。
震災から1ヶ月半がたち、 やっと気持ちも落ち着き、 復興しようと考えはじめたところです。 もう少し待っていただきたい。 地区の人々が「まちづくり」に参加できる状況になるまで、 今少し待っていただきたいと考えます。 そして住民が主体となってつくられる「まちづくり」が神戸市のいわゆる「災害に強い町」としてよみがえられるように神戸市に支援をお願いしたいと考えます。