阪神大震災復興市民まちづくり支援ネットワーク
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26)制度手法組み立ての提案−御菅地区
アーバンプラニング研究所
北条 蓮英
「きんもくせい」11号
御菅地区位置図
長田区役所内での地区模型の展示(神戸新聞6/19より)
御菅地区は、 全面焼失地を中心に土地区画整理事業が都市計画決定(10ha)され、 これを含む隣接地区は重点復興区域(30ha)に指定される。 区画整理事業地区では、 幹線道路(長田線)をはさみ、 2つのブロックでそれぞれまちづくり協議会が設立された。 コンサルタントからは御菅地区の復興まちづくりの手法について以下の提案を行った。
1)地元で共有できるまちの将来像のタタキ台として、 a)復旧ではなく、 復興を視野にいれた定住できるまちづくり b)生活再建に向けて活気あるまちづくり c)従来の町の良さを生かしつつ、 不燃化を促進するまちづくり。
2)事業手法として、 土地区画整理事業と建物整備事業を同時に進めていく必要があること。 土地区画整理事業は、 土地の区画形質の整備、 換地をすすめる手法であって、 建物整備まで関与できない以上、 区画整理は、 まちづくりの手段で目標ではない。 したがって、 建物整備までを視野にいれた事業手法の導入が必要である。
当地区の町割については耕地整理時代の街区(一辺100m)を継承していることから、 街区の単位が約1haと大きい。 極力まとまって共同化することで減歩緩和に寄与できる可能性があること。
3)2つのモデル街区(幹線沿道の容積率300%を含む街区と、 容積率200%の一般街区)をとりあげて、 建築計画上の概略検討を行い、 共同化の単位と建物イメージ、 確保できる住宅戸数のシミュレーションを行い、 イメージ模型を示た。 その結果は、 a)幹線道路沿道街区では、 表と裏の容積率の差異(300%と200%)がある区域を一体的な敷地とすることで、 共同建築の有利性が大きく発揮される。 b)しかし、 容積率200%の街区は、 従前居住者の住宅戸数を確保するには容積率100数十%が必要で、 このためには、 街区の1/2の5,000m
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以上にまとめる必要がある。 c)町並みからみると、 中層タイプ(5〜6階)では、 容積率100数十%しか確保できず、 200%近くまで活用しようとすると、 高層(12〜3階)タイプになる。 d)共同化の単位が大きくなれば、 土地利用上のメリットとして、 道路面積が節約できる。 私道の集約統合により、 公共用地の効率化、 減歩率の緩和に貢献できる。
4)住宅戸数を法的制約の中で最有効利用によりできるだけ確保し、 余剰床を生み出し、 これを公的住宅として取得(買取り公営住宅、 借り上げ公営住宅)する。
5)先行的に土地の公的取得ができると、 まちづくりに有利に働く。 売却に協力してもらえる地主から土地を取得して、 換地手法により道路、 公園等に充当する。 また、 取得した用地は個別に分散しているのを、 区画整理事業の換地で公的住宅の用地として活用することができる。
6)御菅地区の特性として住宅と工場とが混在した土地利用を成している。 現行用途は準工業地域であるが、 一定の区域を工業地区として集める仕掛けとして、 地区計画制度を適用する必要があるのではないか。
今後、 小単位ごとの住民協議によりニーズを把握しながら、 確かな事業化方策を構築していく必要がある。
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