阪神大震災復興市民まちづくり支援ネットワーク
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3 六甲道駅南地区
―市街地再開発事業
環境開発研究所 有光友興
再開発の都市計画決定への反発と
まちづくり協議会
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六甲道駅南地区航空写真(95年5、 6月頃)
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この再開発事業は、 南北はJR六甲道駅南側から国道2号線まで、 東西は八幡線と桜口深田線に囲まれた5.9haの区域で行なわれたものです。 ここでは木造家屋の70%の家屋が震災で倒壊しましたが、 震災前は約900世帯の方々が住んでおられました。
六甲道駅のすぐ南、 駅前広場の部分は市街地改造事業で再開発された「メイン六甲」と呼ばれる区域です。 駅前広場はこのとき整備されました。 再開発ビルのうち1棟は上部が大きな被害を受け、 取り壊されることになりました。 また駅の北側にあるのが「フォレスタ六甲」と呼ばれる都市再開発法による市施行の第一種市街地再開発事業です。
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六甲道駅南地区第2種市街地再開発事業計画図(当初案)
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このように六甲道地区は既に二つの再開発事業が終わっていましたので、 この区域の人たちにとっては六甲道の再開発は完了していると思っていました。 震災直後六甲道南地区に再開発事業の都市計画決定が行なわれたとき、 住民はまさに寝耳に水の状況だったため、 大変な反発が起こりました。
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六甲道駅南地区まちづくり連合協議会区域図
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このときの都市計画決定案は、 真ん中に正方形の1haの公園をつくり、 そこに至る道路も新たにつくるというものでした。 この公園に対して住民は猛烈に反発し、 当初は話し合いもできませんでした。 95年6月になり深備5、 深田4南、 桜備4、 桜口5という四つのまちづくり協議会ができ、 さらにそれらの調整機関としてまちづくり連合協議会が発足することになり、 ようやく行政と住民が一つのテーブルにつくことになったのです。
この四つのまちづくり協議会は事業を進める上でのさまざまな意思決定をしていく単位となりました。 例えば法律上の手続きである事業計画決定、 管理処分計画決定については、 まとまった地区から行い、 工事も当然早くまとまったところが先行するということです。 市街地改造事業で共同化の経験のあった深田4南地区の事業決定がもっとも早く、 次いで桜口5、 深備5、 桜備4の順で事業計画決定がされました。
都市計画決定変更案
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都市計画変更決定(97年2月)
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六甲道駅南地区再開発におけるアーバンデザイン
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完成予想CGパース
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少し遡って、 当初大きな反発があった都市計画案が変更された経緯を述べておきます。 都市計画決定から約2年後、 97年2月、 各協議会が提出したまちづくり提案に基づき、 都市計画変更決定がなされました。 何が変わったかというと、 原案では正方形(サイコロ型)だった公園が羽子板型に変わり、 国道2号線に直接面するようになった点です。 面積も1haから9千300m²に多少小さくなりました。
緊急時の車の出入りを考えて国道に公園を隣接させたということもありますが、 やはりここに反映されている住民の意向は、 羽子板状のタテ長になった分だけ街区の幅を増やすことで、 東西軸に配置される南面住宅をより多くつくりたいという点にあります。 南面住宅への強い希望は公園に正面を向けた配置を拒み住棟の側面を向けた配置となった6番街にも典型的に表れています。
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ウェルブ六甲道のロゴマーク
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住棟については北に設けられたツインタワーは超高層ですが、 それ以外はできるだけ分節するように住棟を細かく配置し、 高さは超高層棟は33階、 その他は14階程度に揃えています。 地区のネーミングは灘区内の中高生から募集して「We Love, We Live」から「ウェルブ六甲道」と決まりました。
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公園のデザイン
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公園のデザインは未だ検討中ですが、 2年くらい前に住民によるワークショップが行われ、 五つのグループからそれぞれ提案があったものを二つに絞って、 さらに最終案に絞っている段階です。 池やせせらぎ、 会館の配置については公園検討委員会がおおむね方向を決めております。
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公園の地下を公共駐車場にしようという案
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公園の地下を公共駐車場にしようという案が検討されています。 もちろん各街区には地上、 地下に駐車場がありますが、 各街区の地下駐車場と公園下の公共駐車場を結ぶことも検討しています。
現在の状況
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六甲道駅南地区事業進捗状況
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現在この地区は、 次々に着工され工事たけなわの状態ですが、 各街区の進捗状況と施設の内容を述べます。 5番街の市営住宅は既に入居が始まっています。 6番街の約4分の1は2000年3月中に竣工します。 2番街は少し竣工式が遅れていますが保留床住宅は完売しております。 一方未着工は1、 4街区です。
施設の内容は、 ツインタワーの一つが建つ1番街は低層部分に大型店舗、 上は住宅です。 ツインタワーのもう一つの2番街は、 低層階が専門店で、 メイン六甲B、 C棟からの権利者が入ります。 上は住宅です。 3番街は八幡線に面した低層部に店舗と事務所、 公園側は少しおしゃれな店を保留床として入れる予定です。
国道に面する4番街には灘区役所が計画されており、 残りの低層部分は業務と店舗になり、 上は住宅です。 同じく国道に面する5番街は市営住宅ですが、 低層階にスポーツ施設(健康増進施設)が入ります。 6番街はほとんどが住宅になり、 もともとの権利者の店舗を六甲新道に面するところにぽつん、 ぽつんといれる程度で、 それ以外の店舗はつくらないことになっています。 公園に面しては店舗をつくらないことになってしまいました。
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六甲道駅南地区復興第2種市街地再開発事業スケジュール
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航空写真・超高層が一つでき上がっている(2000年)
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未着工街区の状況ですが、 第4地区1番街の超高層は平成12年度内に着工します。 第2地区3番街も仮処分に入っており年度内には終ります。 問題が第2地区4番街の区役所ですが、 難航しており2000年の神戸市の予算に入っておりません。 また、 この街区の受け皿住宅としての賃貸住宅の需要が今となっては疑問視されており、 この用途が不確定となったため、 現在は実施設計がストップしている状態です。
しかし、 2002年度末には建物がほぼ完成の予定で、 続いて公園予定地内の仮設店舗を除去し、 公園の整備に移ります。 地下駐車場も含め2005年度には全ての事業の完了が目標です。
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第2街区(第1地区)の超高層(2000年2月)
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第5街区の市営住宅
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第6街区の北側の棟のディテール
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第6街区の六甲新道
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第6街区とその北側に見える第1街区
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第1街区の石積み(震災前からあったもの)
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第5街区、 桜口市営住宅の御影石を使った入口部分
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第2街区で例外的に切石を使った例
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