番外2
《消費税って》
いよいよ4月から消費税が上がるわけだけど、 今回の業界全体の動きは、なんとなく現在の本の売り方に似ているような気がするので、ちょっとだけ触れておきます。
僕がここでずーっと書き続けていることは、 別に特別な事ではないし、 あたりまえのこと、 つまり基本的なことだと思っている。 でも基本というのはすぐに忘れてしまうものだから、 ちょっと書いておこうと思ってこの連載を続けているわけです。
それで今回の消費税率の改定における我が業界のことだけど、 基本的なことが忘れられているような気がしてならない。 そうそう基本的なことといえば、 最近では、基本的なことを忘れて、 目先の利益やみんなやっているからという理由でモラルを逸脱して吊し上げられた人のニュースには事欠かない。 基本的なことを忘れて、 こんなことはよくないよなぁと思いつつやっていると、 いつかツケが回って来るということだ。
さて、4月からの取引はすべて <外税> になるのだけど、 <定価の表示問題> はいろいろと議論され、 その意味や運用については一応の説明がなされているが、 何故消費税導入期に、 業界の最善の方法として <内税> を採用したのに、 今回からどうして <外税> にするのか、 についてはみんなが口を閉ざしているのだろう。 内税から外税に変えることには他業界とは違いとても大きな意味が含まれているというのに。 こんなことが起きているのは、 消費税と本の値段についての基本的な考え方を不明瞭のままにしているからだ。
1000円の本を買うと読者の税負担は、 消費税がなければ0円、 3%なら30円、そして今回5%になるから50円になるということだ。 現行の基準だと1030円の本の <定価> は1050円になり、 本は <値上げ> されるのだけど、 書店や取次店や出版社は儲かるわけではなく税務署に収めるだけのことである。 つまり1000円の本を買うと読者は50円を、 とりあえず、 書店に <納税> するというのが消費税の基本的な仕組みだ。 このことをキッチリ押さえておけば、 流通や書店店頭での混乱はないはずだ。
消費税のことも、 本の販売もこれと同じで、 基本的なことや本質からはずれて目先の売れ行きのことだけ考えたり、 顧客に不親切な棚をつくると、 混乱というツケが回って来ると思うのだけど。
小社としては、 書店さんの店頭で書籍や雑誌に対する <消費税の転嫁> がうまく行くよう努力します。
ところでこの <消費税の転嫁> の 「転嫁」 の意味、 ちゃんと知ってますか。
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