「欲しい本が手に入らない」この言葉は、 もう何年も何年も前から言われ続けている。 『欲しい本が手に入らない』ということは、 書店に本を買いに来た人が、 本を買わなかったということであり、 書店は1冊の本を売り損じた、 ということ以外に意味はない。 『欲しい本が手に入らない』ということは、「せっかくあんたの店に本を買いに行ったのに、 置いていないんだもん、 がっかりしちゃったわ。 別の店で探してみよーっと」ということである。近ごろ書店はコンビニ化していて、 あるものはあるけど、 ないものはない、 みたいなところがある。 中央仕入本部から売れ筋商品と予測に基づいた数の商品が搬入されて棚に並べられる。 セブンイレブンとローソンではきっと何か違いはあるのだろうけど、 コンビニはどのチェーンで同じに見える。 これはこれでいいのだ。
コンビニに対して『欲しいものが手にはいらない 』とは誰も言わない。 書店に対してそう言われるのは、 顧客のニーズの質が違うからだ。 書店が特殊な小売と言われるのもそのためである。 これを守るための制度もある。 「本を売る」ということ、 それをもう一度考えてみたくなって、 この場所をかりて書いてみようと思う。 そしてあなたの店で1冊の売り損じがなくなれば幸せというものである。
■ 96年11月にスタートして、98年1月9日に掲載を終了いたしました。( )内は掲載日です。ご意見、ご感想をお待ちしています。<メールの送信先>は、この目次の終わりにあります。
■98年4月から始めました[犬猫堂の人びと/現場の記憶]は、読んで頂けましたか。販売のヒントが見つかるかも知れません。
■99年2月にスタートした[一言半/甘辛書店時評]は、(株)トーハン発行の「書店経営」に連載中のものを掲載しています。