2番目

《本はしゃべれない》

 人間だった自己紹介という方法で自分をアピールできるのだけど、 悲しいかな本はしゃべれない。 だからきれいな装丁にしてもらったり、 ハデハデの装丁にしてもらったり、 オビをつけてもらったりして、 なるべくわかって貰えるようにしてあるのである。

 言うまでもないことだけど、 大手出版社の本も小規模出版社の本も、 本が出来上がるまでのプロセスは同じである。 突然本が出来上がることはない。 多くの人達がかかわり、 多くの人達の気持ちが込められている。 だけど出来あがった本を売るときに、 「この本はたくさんの人達の努力と涙の結晶なのだわ」といちいち考えていたら商売にならない。 だけど本はそうして生まれたことを本当はしゃべりたいのだ。
 だから最初から「本とは商品だからそんなことに気をつかわなくてもいい、 聞く耳はもたない」、 と冷たくしないで、 少しでも本の言葉をきいてあげて欲しいと思う。 聞こうとすれば聞こえてくることだったある。 もし本の声があなたに聞こえたら、 その本は売れ筋だといってしまおう。

 チョット、 オカルトっぽい話だけど、 これほんと。

左三角前に 上三角目次へ 三角印次へ