3番目

《本は触ってあげよう》

 スキンシップが、 コミュニケーションの大切な要素であることは、 日常生活の中で誰もが納得していることだ。

 車の好きな人は、 よく車を磨き、 カメラの好きな人は手入れを怠らない。 本もそうだ。 全然売れない本でも毎日毎日「売れてね」と声をかけ、 触っていると売れる。 本が触られていないと思われる書店は、 たいてい売れ行きが悪そうな店が多い。 そうは思いませんか。

 本は買う人に触ってもらいたいのではないのだ。 本屋さんに触ってもらいたいのだ。 スリップが飛び出していたり、 カバーや帯がずれていたり、 破れていたり、 買って貰うにはあまりに惨めな姿で、 棚からお客さんに色目を向けているのはつらいのである。

 そこで謎のピラミッドパワー販売法をこっそり教えよう。 秘伝中の秘伝だからだれにも言わないように。 まず一つのジャンルのなかで売れ行き良好書を3冊ぬきだそう。 そして売りたいのだが、 なかなか売れてくれない本を1冊選び出す。 棚の前に立ち、 売れ行き良好書3点それぞれを三角形の頂点にそれぞれ配す。 そして売りたい本をその三角形の中心に置くのである。 そのときこの合計4点の本を充分に触り、 棚に収めるとき「売れろ」と念じるのである。 するとどうだろう売りたいと思っていた中心の1冊が売れて行くのである。 ただし売れるまでその4点については毎日触ってあげなければならないのだ。 またそのついでにその周辺の本にも目配せしてあげよう。 この方法はちょっと眉つばくさいけどやってみる価値はある、 と思うよ。

 で、そこまでやって売れなかったらどうするかって?。それはあなたの目利きが悪かったか、本が元々売れないものだったということ。私の責任ではありません。

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