7番目

《本の並べ方がわからない》

 一点一点の本の内容について書店人が知らないのは、 店頭に並んだ野菜や果物の味を八百屋が知らないのと同じである。 でも八百屋はバナナならこんな味、 ミカンならこんな味ということは知っている。 書店で本の並べ方がわからなくなるのは、 バナナの味を知らないでバナナを売ろうとするときである。 でも書店でひとつひとつの味を知ろうとしたら満腹になってしまう。 そんな時はつまみ食いをすることだ。 本のタイトル、 帯のコピー、 目次だけでも読んでみよう。 100冊ほど見たところで、 頭の中にこれはAというジャンルの本、 これはBというジャンルの本というように大きな違いや傾向なんかがボンヤリ見えて来る。 専門書であれば、 全くわけのわからない言葉ばかりで何の事やらさっぱり分からないけれど、 100冊も見れば何かしら頭の中に浮かんで来るものだ。 諦めないでチャレンジしてほしい。

 こうなってくれば最初の一歩を踏み出したことになる。 あとは焦らず少しづつ少しづつ深く踏み込めばいい。 一年もすれば、 どんな新刊だってすんなりと棚に収めることが出来るようになるはずだ。 食わず嫌いはダメ。

 かくゆう私も、 近ごろ人気のモロヘイヤには手が出なかったのだが、 食べてみてやっぱりマズイことがわかった。 栄養があるから、 話題だからとモロヘイヤをおいている八百屋をぼくは信じない。 八百屋は栄養士ではないのだ、 うまいものをおいてくれ。

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