10番目

《売上カードは仕入れ発想の基本》

 その日に売れた本のチェックは、その日の内にやっているだろうか。 今日何が売れたかを把握することが、 明日の売上を決めると言ってもいいのだ。 そのチェックは売上カードでする。 その日にレジから回収した売上げカードは、 その日の内に見る癖を付けること。 「ワッカチャいるけど忙しくてできない」という言い訳は受け付けません。 これは販売上の基本中の基本。 例えば、 ラケットを持たずにテニスができないのと同じくらい当たり前のことなのだ。 本のすべてに売上カードが入っているのは、 膨大な量の本の販売管理を書店さんにしてもらうために出版社が一枚いくらで業者に頼んで、 あるいは自分のところでシコシコと1冊1冊に挿入しているのである。 つまり売上カードは販売の道具なのである。 そしてこの道具は毎日使ってこそその意味を持つのであって、 暇なときや思い出したように見るものではないだ。

 では何故売上カードを毎日見ることがそんなに大事なことなのか解らない人に説明しよう。

 それはね、 その日売れた本を全部覚えられるほどあなたが賢くないから。 すべての小売業者はその日売れた品物と数をその日のうちにカウントし明日の仕入れに活用する。 例えば八百屋さんならダイコンが10本売れたら次の日の需要を予測して仕入れ数を決める。 ニンジンがその日1本しか売れなかったら次の日の仕入れは止める。 こうした判断が毎日毎日行われる。 あなたはそうしてますか。 「だって本は在庫がほぼ1冊づつだし売れれば常備カードや必備カードがあるので自動的に補充されて来る。 だからそんな八百屋さんみたいに毎日毎日気にしてられません。 」そりゃそうなんです。 今日1冊売れたからといってすぐにまた1冊あるいは2冊注文してたら在庫過剰になってしまうからね。 だけど八百屋さんのダイコンになぜ常備カードがついていないのかを考えると、 本の仕入れということと大根の仕入れということの間に《積極性》という言葉が脱落していることに気付くはずだ。 ある本が今日売れた。 その本がしばらく(2週間から3週間)その棚にないのがこの業界の悲しい現実である。 だけど今日売れたその本が明日もその棚に並んでいたら売れるかもしれない。

 今日売れた本を明日も売るために積極的な仕入れの発想を導いてくれるのが売上カードだってことをここでは言いたかっただけ。 (ストックフォームに打ち出されたPOSレジデータの方が売上カードよりリアルで分かりやすいという方はそちらをご利用ください)

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