11番目
《売上カードの向こう側》
売上カードを毎日チェックすることは前回に書いたけど、 毎日売上カードを見ていると、 自分の店のお客の顔が見えてくる。 今日配本されてきた本を今日棚に差した。 そして今日売れた。 これは幾つかの推理が出来る。 新聞広告がでている。 頻繁にその本の入っていた棚を見ている客がいて、その関係の新刊が出るのを待っていた。 世間で話題となっており、いわゆる「売れ筋」商品であった。 たまたま売れた。 と幾つか考えられる。 この推理の上に立って追加発注するのか、 売り切りにしてしまうのかを判断する。 あるジャンルの本を中心に買う読者は常に新しいものを求めているので、 その棚を更に充実させていけばまだまだ売れるはずだし、 「売れ筋」商品であるなら関連図書を緊急に調査する必要もある。 ある時期には売れていた商品が急に売れなくなったりするのは、 それが季節商品であったり、 すでに世間の関心を失ってしまっているからである。 毎日毎日売上カードを見ていると自店の顧客の傾向や世間の関心事の移り変わりなどが適確に読み取れるようになる。 そうすると毎日山のように送られて来る新刊の中から、 お店の重点商品が見えて来るはずだ。 2冊の配本があったがこれでは足りないとか、 同じ配本でも2冊は多すぎるとか、 そんなことすら見えてくる。
100の書店があれば100の売れ方があるはずである。 自信をもってうちのお客さんはこういう本を好みます、 と言える書店人になるためには、 売上カードの情報をどれだけ読み取っているかにかかっている。 バカ!そんなことはPOSのデータ分析でやるのだという声がチョット聞こえたぞ。 POSについてはまた別の機会に書くのでそのときまで待っててね。
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