最もわかりやすいのは、 読者にその本を強くアピールするためのものだということである。 書店に限らず小売店にはそうした装置がある。 それからよく売れている本だと棚では補充に手間がかかる。 一冊売れると、 すぐに一冊補充するために棚までいかなくてはならない。 アピールできて補充の手間がない、 これが平台の最大の存在価値である。
というわけで、 売れている本が積まれているからどこの本屋へ行っても平台は同じ商品で溢れている。 それから平台というのは、 出版社にとって商品をアピールするという面ではとても魅力的なので、 出版の営業マンは、 ペコペコと頭を下げて「平積みお願いします。 」ということになる。 つまり平台は、 売れ行き良好書と出版社お薦め商品で構成されていることになる。
また新刊委託で送られて来たAという本が5冊、 10冊とあったら、 たくさん送られて来るということは売れる本だと即決して、 平台に積むということもあるかもしれない。 1000坪の書店でもすべての出版物を展示できない今の状況の中、 出来るだけたくさんの本を置きたいという欲求を押さえて設置された平台である。 売れている、 売れるかもしれないという理由だけで平台を使うのはもったいない気がする。 そして何よりも読者の最もよく目につくものである。 だとすれば「売りたい本」を展示することが平台の最大の役目なのではないだろうか。 棚が常備で埋まり、 個性を出せないとすれば、 平台は読者に対して書店の顔をアピールするものと考えたい。