15番目

《書店はマニアのお店》

 読書人口が毎年減っていることは、新聞などで報道され、誰もが知っていることである。 本を読むということは、 あたりまえのことではなく、 限定された人間の行っていることになっている、ということである。 本というアイテムは、マニアックな響きをもつようになってきているのである。 昔から「本好き」というのは、 どこかしらマニアックな響きはあったけれど、 今後はそのニュアンスがもっと強くなる。
 「趣味」は読書なんていうとアブノーマルな印象を与える日も近いので気をつけようね。

ここでは、書店に足を運ぶ人をごく普通の人、 と考えているのであればそれは間違っていると言い切りたい。
 本は今や、 趣味、 娯楽、 教養という概念ではなく捕らえるものではなく、 情報の一部となっている。 だから書店は旅行、 料理、 車、 パソコン、 その他あらゆるジャンルのハウツー書だけを陳列しおけば、 それなりの売上は確保できるものである。 読者がこうした本を買うときの気持ちは、 スーパーで夕食のおかずを選んでいるときの気分とほぼイコールだ。 単に紙に印刷された活字情報を求めているにすぎず、 消費するものとして読者は本に接している。 こういう人達を相手にしていても、書店は書店として存在できる。 しかし、 本を売る相手はこうした人達だけではなく、 本を情報源としてではなく、 本そのものの価値を求める人達がいるのだ。 これまで、 こうした人達が書店を支えた、 と言ってもいい。
 いわゆる本とは「文化」であるという立場に立つとき、 棚の前に立つ顧客が、 きわめてマニアックに見えるのは私だけだろうか。 書店が書店として成立し続けているのは、 まさにこのマニアックな人達のお陰である。 そしてこれからも彼らによって書店は支えられることになる。 あなたのお店はマニアのお店と言うにふさわしい品揃えをしていますか。 フフフ

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