16番目
《客注という有り難さ》
よく考えると我々は、書店以外の小売店には注文を出すということをめったにしない。 なければ他の店を探すか、 あきらめるか。どっちかの場合が多いと思う。 店にメーカーまで電話してもらって商品を取り寄せるのは、 かなり特種なケースである。
しかし書店ではこれは日常茶飯事であり、 売上の一部を占めている。 どうでもいい業務ではなく、 かなり重要な業務となっている。客注が多発するのは、 他で探しても見付からないケースが多いのと、 どうしても欲しいという欲求が高いせいだと思う。 読者がやや面倒臭い手続きをして、 いつ届くかわからないことを承知で注文を出すという行為には、それなりの理由がある。 そんな読者の気持ちを少しは考えてみるべきだ。 隣の書店で注文しても結果がほぼ同じなのに、 何故自店を選んだのか。 よく考えれば、客注をだす読者を店は最も大切にしなければならないということがわかると思う。
客注の事務処理は結構面倒なものである。 じゃまくさいなぁなんて考えているあなた、 店にあれば客注なんて出ないのだからその辺も考えて反省してください。 それにしても客注品の流通が改善されたとは言え、 何月何日に入荷しますと言えないのはやはり書店にとってつらいことだし、 これじゃやっぱし、 じゃまくさい業務なんですよね。でもでも、 客注の業務はしっかりやらないと、 お客さん逃げちゃいますよ。
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