次に何をするか。 まず本の大きさを覚える。 これは見ればすぐにわかる。 文庫本か、 新書判か、A5判かB6判か、 並製かハードカバーか、 これも触覚で覚える。 つぎに装丁である。 表は勿論だけど背表紙まで見る。 平積のときはしっかりと目に焼き付いていた本でも、 棚にはいると「どこへ行ったやら」となる場合がある。 文字の感覚と色、 そんな特徴をぼんやりでいいから見るといい。
次は帯である。 本を覚えるためにその本を読んでいたのでは、 体と頭がもたない。 帯には編集者あるいは営業担当者が、 その本を売るために知恵を絞った本の特徴を表すコピーが書かれている。 これで本の内容を知るのだ。 まあ目次まで目を通せたら完璧である。 これ以上本の内容を知る必要は書店にはない。 もし「こんなことで本を知っているなどと言ってはいけない」と思っているあなたは、 職業を間違っていると思う。 (学者にでもなれば?)
文字にするとこのようになるのだけど、 ほんとうは、 とにかく本を手にとって嘗めまわすように本を見つめることなのである。 人間と同じで、 第一印象のいい本とそうでない本がある。 すてきな彼との出会いのように本に出会うこと、 それが第一歩なのである。 まちを歩いている時、キョロキョロとすてきな彼を探すような、 チョット卑猥な目で本を見ること、 たくさんの本を品定めすること、 これが本を覚える極意である。
本を良く知っている人の目にどこか猥褻さを感じるのは私の偏見なのでしょうか。