24番目

《本を読んでいますか》

 書店に勤める人すべてが本好きではない。 しかし少なくとも嫌いではないはずだ。 野菜を見るのも嫌いな人は、 八百屋にはならない。 魚を触れない人は、 魚屋にならないのと同じである。

 職業として書店を選んだ以上、 やはり本は読まなくてはいけない。 商品アイテムの多さにより専門的知識が何より必要な職業についているわけだからなおさらである。 しかし<本の覚え方>でも書いたけれど、 職業としての本の知識はあの程度のことで十分である。 ここで言いたいのは、 せっかく本を扱う職業についているのだから、 「本を愛しましょう」ということである。 本でなくても雑誌でもいいのです。 自分の好きなジャンルの本を読みましょう。 仕事中でもいいのです。 店には本が溢れています。 チョット立ち読みしたぐらいで目くじらを立てる店長はいないでしょう。 どんどん本を読みましょう。 一般の人は本から知識を得るために、 お金を払います。 でも書店人なら店にいくらでも本があり、 ただでそれを読むことが可能です。
 店にある本は売り物です。 かってに読んではいけない、と言うのは正論なので反論はありません。 でもチョコッと本を覗くことは罪にはなりません。 店長の目を盗んで本を読みましょう。 繰り返します、 「ただ」なのです。 それに一般の人はわざわざ書店に足を運ぶ必要があるのに、 書店は本だらけで、 いつだって気に入った時間に棚から本を抜き出せます。 それに普通ならついウッカリ新刊書を買いそびれたりするのですが、 ちゃっかりと買ってしまえるのです。 配本が5冊でそれを全部お店の人が買ってしまい、 店頭に並ばなかった、 なんて話も聞いたことがあります。 本好きにとっては何とも羨ましい環境なのです。 そんなところで働いているあなた、 本を読みましょう。
 でも汚さずに読んでください。 昼休みに持ち出した本にカレーのルーを飛ばしてしまい、 返品なんてことはしないように。 店の本は売り物なのです。

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