26番目

《文庫は雑誌か》

 月刊誌同様、 文庫も決まった時期に決まった点数の新刊がでる。 棚に残るとはいえ、 文庫の平台での命は最大1カ月である。 新刊が出ると、 前月の新刊と入れ換えられるからだ。 そんなことはない、 と反論がたくさん出れば嬉しい。 でもきっとこれに近いことはやっているはず。 違うかな。
 どうしても新刊びいきになるのはしかたないけど、 今後も新刊よりもまだ売れそうだ、 というものまで引っ込める手はないと思う。 文庫の新刊が10点出たら10点とも平積みにしなければならない、 という約束事はこの業界にはない。 10点の内、 これはうちの店では売れないな、 と思ったらこれまで売れているものを引っ込めてまで、 新刊に頼る事はない。 文庫は雑誌ではないのだ。 (雑誌みたいのもあるけど)。 ちょっと前までは単行本としてちょっと威張った感じで売られていたものが、 サイズを変えて登場したのだ。 廉価だから読者も手にとりやすい。 そういうものだ。
 それから新刊しか積んでいない文庫の平台があるけど、 1点でもいいからロングセラーを残してほしい。 例えば50点積める台だったら、 そのうちの1点だけなのだ。 それで店の売上が悪くなるとは思えない。 文庫は安い本だから儲けは少なくてそこまで手は回らない、 と言われればしょうがないけど、 書店の心意気みたいな部分でやってもらえないだろうか。 新刊イコール売れる、 という図式は間違っていないけど正解ではない。 文庫の世界は出版界の縮図みたいなものでドロドロしているけど、 本としての文庫の世界はいつまでも読者にとって魅力的な世界なのだ。 なんたって安いのだから。

 あっ、 そうだ。 ミニ文庫という、 新形態でとてつもなく安いのがでたけど、 うーむ、 書店さんも大変だね。

左三角前に 上三角目次へ 三角印次へ