べストセラーを大手書店Aが10冊注文した。 出版社は注文に応えて10冊納品した。 小型店のBが同じく10冊注文した。 出版社はどうせ少し返品になると判断して5冊納品した。 これが道理にかなっているかのように思われていることが、 ちょっとおかしいのである。 こんなことが起きるのは、 書店には余ったら返したらよいという発想があり、 出版社は、 余ったら返して来るだろうと思っているからだ。 注文品は買い切りなのだから、 買うほうも売るほうも初めから返品のことなど念頭においてはいけないのである。
しかしねえ、 これって建前なんだよね。 現実には注文品が買い切りだなんてあんまり考えずに商売をしているもんね。 でもこの建前が風化してしまっていることは問題だと思う。 責任販売制などというつもりはまったくないけど、 あなたの責任において仕入れたものはあなたの責任において販売すべきで、あなたが責任をもって一生懸命売った本が万一残ったら、 出版社はその本を何とかすべきだ、 という考え方が必要なんだと思う。 だから、 出版社も10冊売りたいという注文主に何の理由説明もなしに減数してしまうような態度は改めるべきなのだ。
しつこいようだけどもう一度確認しておきます。 〈注文品は買い切り〉なのです。 知ってました?