32番目

《本が倒れていることの不快感について》

 本が倒れているというのは10冊入るべき棚に、 5冊くらしか本が入っていなくて、 本が斜めに傾いている状態の事である。 こういうのを 「棚がガタガタだ」 と言う。 でも補充する暇もないくらいよく売れている書店ほど、 [棚がガタガタ」 でないのは不思議である。 本が倒れている書店の多くは、 一見暇そうな書店である。 ひどいところでは棚一本分すべてに本がないところもある。

 書店のイメージとは、 本がたくさん置いてあって、 さあこの中から自分の欲しい本を選ぶぞという雰囲気のある店である。 棚の本が傾いているような書店では、 一見して欲しい本は多分ないなという印象を受けてしまう。 本がなければフルカバー(表紙を見せて展示するやりかた)展示をするとか、 補充品がストックにあるなら複数になってもその本で棚を埋めるかしたいものである。 忙しい店ほど棚が揃っているのは常に棚に目を向けていないと売り逃しが発生するからだろう。 棚に目配せをすることに忙しい、 忙しくない、 という区別はない。 書店が棚を気にするのは当たり前のことである。 平台は乱雑になると本が上にかぶり、下の本が見えなくなるから小まめに直すけど、 棚は全く無視というようなことはしないで、 棚にも目を向けて欲しい。

 どんなに売れ筋商品を並べたところで、 棚の本が倒れているいるようなところで買い物はしたくない、 「棚がガタガタ」の書店は心が寒い、というのが読者心理である。

左三角前に 上三角目次へ 三角印次へ