常備品には常備カードが入っていて、 売れたらそのカードを取次店に渡す、 あるいは機械で読み取り送信すれば「自動的」に補充される。 取次の倉庫にあればそこから出荷されるのだが、 残念ながら常備品が倉庫にある確立は低い。 何故ならば、 取次店の倉庫といえども無限の大きさがある訳ではない。 すべての出版社について、 すべての常備品など在庫できないのだ。 さらに出版社は次々と新刊を発行するので、 やはり既刊書よりも売行きの良い新刊を在庫することになる。 出版社毎に在庫点数は決められているので、 常備銘柄よりも新刊あるいは売行良好書の比重が高くなるという訳である。 常備の補充スピードが遅い訳がここにあるのだ。
残念なながらこれを解決する方法はない。 取次店の倉庫にないものは、 常備カードが出版社に送られて、 出版社の倉庫から出て行くのである。 この期間当然の事ながら書店の棚にその商品はない。 よく読者に「補充中です。 」と答えているが、 いつ補充されるのかは答えられない。 なにせ「自動的」に補充される常備品である。 いつ売れたのか、 常備カードがいまどこにあるのかそんなことはあまり気に掛けていないことが多いはすだ。 この売り逃しを防ぐためには、 回転のよい常備品については複数の在庫を持つことである。これが、常備品の注文のことだ。
その方法は、 1冊は常備カードによる自動補充、 もう1冊は注文して在庫とする。 常備カードによる回転商品が売れたら即座に注文品の商品を棚に補充する。 常備カードによる回転商品が入荷したら棚は常備カード挿入商品と差し替える。 しばらくして商品回転が悪いと判断したら、 注文品の方を棚に出し、 売り放しとして在庫を調整する。 逆に売れ行きがさらに良好な場合は、 注文品を2冊にすることもある。
常備商品の補充に2週間かかっているとすれば、 注文品と合わせることで、 棚に本がない期間をゼロにすることができる。 常備商品だから、 店には1冊と考えずに、 積極的に常備品を注文することで、 売り上げは伸びるはずだ。