40番目

《書店の中の迷子》

 大きな書店へ行くと、 どこに何が置いてあるのか分からなくなることがある。 税金関係の本を探す時、 法律、 経済関係の棚(書店ではこれを法経書などと言っているが)に行けばいいことは、 誰でもわかっているようで、 分からない人の方が多い。 税務は専門書の範疇であるが、 一般の人にとって税金の話は身近なことで専門ではない。 家庭の医学と専門医学書が別のコーナーであるように、 生活に身近な問題は別の場所に分類すべきだ。 「くらし」なんていう棚があったら読者は重宝する。 これは店の規模により、 とても二重展示など出来ないということもあろうが、 最近増えた大型店でも点数が多いことを売り物にしていても、 大型店ならではの複数展示や分類の工夫が忘れられていることが多い。 大型店であればあるほど、 読者はどこになにがあるのか分からずウロウロすることになる。

 スーパーなどでは麺類と調味料は別の棚だが、 季節によりそうめんとつゆを同じ場所に置いている。 当たり前のようだけどこうした配慮が書店には欠ける。 店の中の迷子は、 店の恥じである。 多層階の書店で五階まで上がってきた読者が、 「税金の本はどこでしょう」と聞くと「三階です。 」と簡単に答えているが、 その読者が五階まできたのには、 なんらかの理由があるはずである。 間違わせたのは書店の責任である。 「申し訳ありません。 三階の売り場の○○あたりです。 」くらいの気持ちで応対しなければこの間違いはまた繰り返される。 百貨店には各所に案内係が配置されているが、 大型店の場合これくらいの配慮は必要なのではないだろうか。

 そうそうこの間、 ある大型書店で「ぴあマップ」を買おうとして、 地図売り場を探した。 さんざん探したあげく、 見つからないのでカウンターで問い合わせた。 するとさりげなく、 「ぴあコーナー」にございます、 だって。 これって僕が悪いの?

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