42番目

《レジ業務の楽しみ》

 書店員の場合、 一日の内、 レジに立たない日はないと思う。 ローテーションが決まっていて、 一日のうち何時間かはレジで接客するはずである。
 レジというのは、 まさにリアルに、 どんな人がどんな本を買うのかを見ることが出来る場所である。 POSレジは、 ある本が売れたという情報しか記録しないけど、 レジに立つ人間には、 それが男か女か、 年令はどれくらいかなど事細かにチェックできるのである。 でも、失礼のない程度にする必要はある。 たとえば18才未満お断りと言うような本を買った読者に対して、 心の中で、 <エロおやじ>、 などと思ってはいけないのだ。
 特に棚の担当をもっている人にとっては、 自分が陳列した商品を買ってくれたお客さんの顔がみられるというのは最高の喜びのはずだ。 またその年令や職業 (服装なんかで分かる程度だが) から今売れたような本をどんな人が買うのが分かれば、 自店の客層の特徴がつかめて、 販売の参考になるはずである。 客の切れ間のレジでのおしゃべりも楽しいものだけど、 意識してお客を見ることで次ぎに来店されたときのサービスもまた違ってくるのではないだろうか。
 それからレジにいると本をよく尋ねられると思うが、 知っている本なら自信たっぷりに、 商品の場所をご案内すればいい。 お客は本を良く知っている店員としてあなたを認めてくれるはずだ。 レジ業務は、 商売の基本中の基本を覚える場所である。本にカバーをかけたり、 袋に入れたり、 お金をもらって 「ありがとうございます」 というだけの場所だなんて考えないで、 レジで学んだことを他の業務でも活かせるよう、 意識的な接客を心がけるのが肝心だと思う。

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