44番目

《ブックフェアーの取り組み》

 特典も値引きもない書店のブックフェアーとはいったい何か。

 それは日ごろ店頭にない本を読者に紹介することや、 一つのテーマにより日ごろの棚分類ではまとめられない本をまとめて読者に見せることにほかならない。 特に、 テーマを設定したブックフェアーは、 日ごろは実用書コーナーに並んでいた料理書や、 心理学の棚にあった児童心理学の本や、 学習参考書のコーナーにあった数学1の解き方の本を 『おとうさんのための勉強室』 というテーマでビジネス書のコーナーで見せる、 というようなことである。 いつもは料理書なんて買わないおとうさんが <今度の日曜日は俺の手料理だ> なんて思わせて本を買わせるのが書店のブックフェアーである。 だからテーマの切り口がきわめて重要なポイントになることは言うまでもない。

 ブックフェアーのテーマ設定は、 すぐやれといって出来るものではない。 日ごろから問題意識をもって事象に興味をもっていないとできない。 そしてなにより本を知っていなければならない。 コンピュータでキーワードを叩いて関連図書を探すような手法のブックフェアーは、 読者の為のブックフェアーとは言えない。
 ブックフェアーの達人がいたが、 その人は常に50本のテーマを抱えていたという。 それぐらいないと、 時を得たフェアーはできないという。 こんなにまではなかなかなれないけど、 常にできることを目標をもって取り組めば何かできると思う。 そしてなんと言っても、 自分で、こんな本をお客さんに知って欲しい、 そして買って欲しいということが最も大切で、 売れるブックフェアーの発想の原点だと思う。

 あっ、 それから、 ブックフェアーはお店の売上げを上げるための手段なのだけれど、 売れないブックフェアーもあるということも理解しておかなければならない。 短期的に見ると売れなかったけど、 長期的に見て、お客を引き寄せるという側面をブックフェアーはもっているのだ。 ブックフェアーをそう考えないと継続的に催すことは出来なくなる。 息切れしそうになってもコツコツと、 お客さんのために本を見せてあげる努力をしましょう。

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